「偽善者たちへ」百田 尚樹
2020/10/22公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(81点)
要約と感想レビュー
組織的な安保法制反対工作活動
日本学術会議が北海道大学に圧力をかけて、防衛省からの研究助成金を辞退させたことが書いてあるということで手にした一冊です。百田さんが2015年から発行している有料の会員向けメールマガジンを元に加筆・修正したもので安保法制ネタが多い印象でした。著者はマスコミ、学者、政治家が、組織的に安保法制に反対する工作活動を行っていることに我慢がならなかったのでしょう。
ちなみに鳥越俊太郎氏は安倍政権のことをテレビ番組で、「ヒトラー政権」と表現していたという。仮に本当に安倍政権がヒトラー政権なら、鳥越氏は「再教育施設」という名の強制収容所に連行されていたことでしょう。ヒトラーのプロパガンダを学んだのは、自分自身なのではないでしょうか。
天声人語が共産党系シールズを持ち上げる
安全保障関係では、マスコミは現政権を強圧的と印象操作しています。憲法学者は、テレビ番組で自衛隊を違憲と批判する。活動家は国会前でデモを組織。2015年7月12日の朝日新聞の天声人語では、安保法制に反対するシールズという共産党系の団体が主催するデモを持ち上げたあと、評論家の柄谷行人の次の言葉を引用しています。「人々が主催者である社会は、選挙によってではなく、デモによってもたらされる」と、あたかもデモによる政変、クーデターのようなものを推奨しているのです。
国際的な歴史戦として日本のマスコミは、従軍慰安婦の強制連行を報道しています。一部の与党政治家が従軍慰安婦を国家として認めてしまっています。学校の教科書に従軍慰安婦が記載されるにまで、工作は浸透しているのです。
こうした流れのなかで、日本学術会議は2017年に出した声明「軍事的安全保障研究に関する声明」の中で「安全保障にかかわる研究が、学問の自由及び学術の健全な発展と緊張関係にある」などと決めつけている点について、著者はその点に違和感を持ったのです。
北海道大学が自身の研究に対する今年度の防衛省からの助成金を辞退した・・・日本学術会議が制度への応募に否定的な声明を出していたのです・・・北大の研究は「船が受ける水の抵抗を小さくする研究」というもので、これはあらゆることに応用できる、実に意味のある研究です(p127)
防衛費は人を殺すための予算なのか
TBSのテレビドラマでは、悪徳政治家がブルーリボンバッジをつけているという演出がありました。ブルーリボンは北朝鮮による拉致被害者たちを救出する祈りのシンボルです。共産党の藤野保史政策委員長は、NHKのテレビ番組で、防衛費を「人を殺すための予算」と表現しました。民主党の小西洋之参議院議員は参院外交防衛委員会で、「憲法違反のお先棒を担ぐような官僚は絶対に許さない。政権を奪い返して必ず処分する」と発言しました。これらの人たちは偽善者というよりも、本業としてこれらの活動をしているのです。
統一された一つの方針に従って、組織的に長期にわたって人材育成と活動が行われているのです。資金もどこからか支給されているのでしょうから、これは偽善ではなく必然の方針に沿った報道と活動なのでしょう。百田さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・2015年の安全保障関連法案について・・・東京で「反安保法案2万5千人デモ」が開かれたことについて、中国の人民日報は国際面の3分の1を使って取り上げたといいます。そして「日本民衆の戦い」を褒め称えたそうです(p159)
・韓国側は日本の「産業革命遺産登録」(軍艦島)について協力する方針を初めて示した・・・その後、私の懸念は当たりました・・・韓国側からの「『強制労働』の文言を入れろ」という要求を呑んでしまったからです。やはり「引っかかった」のです(p163)
・左翼新聞あるいは反日新聞と言われている朝日新聞や毎日新聞は、在日朝鮮・韓国人が犯罪を犯すと、ほとんどといっていいくらい通名でしか報道しないのです。多くの地上波テレビ局も同様です(p158)
【私の評価】★★★★☆(81点)
目次
第一章 薄っぺらい正義
第二章 人権派という病
第三章 平和という麻酔
第四章 韓国と中国の本質
第五章 野党の愚
著者経歴
百田 尚樹(ひゃくた なおき)・・・1956年大阪市生まれ。同志社大学中退。放送作家として「探偵!ナイトスクープ」等の番組構成を手掛ける。2006年『永遠の0』で作家デビュー。他の著書に『海賊とよばれた男』(第十回本屋大賞受賞)等多数。
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