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【書評】「「開運!なんでも鑑定団」の十五年」中島 誠之助

2020/10/23公開 更新
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「「開運!なんでも鑑定団」の十五年」中島 誠之助


【私の評価】★★★★☆(86点)


要約と感想レビュー


骨董の値段はあってなきがことき

「開運!なんでも鑑定団」で「いい仕事してますねぇ!」の中島先生の一冊です。「開運!なんでも鑑定団」が始まったのが1994年ですから、26年も続いているのですね。


「開運!なんでも鑑定団」が始まった当時、鑑定して値段を公表するということは常識外だったという。なぜなら骨董の値段はあってなきがことくのものであり、仕入れ値こそ秘密中の秘密であったからです。


かりに見せられた物がホンモノであった場合でも、廉価で引き取れば商売として利益が上がるために、あいまいな鑑定結果しかいわないものだ・・・「無料鑑定・高価買取」の看板は、大方当てにならないものだ(p98)

10個のに1つはニセモノ

面白いのは骨董商というものが、ニセモノと付き合わざるをえない業界だということです。ニセモノをホンモノとして売らなくては大儲けはできません。かといってニセモノばかり売っていては、信用を得ることはできない。


だから相手の実力を観ながら、売りつける商品を変えるのだという。したがって、品物を仕入れる時には、はなから売り込む相手を決めています。買ってから「どこに売ろうか」なんて言ってるようでは、プロの骨董商、古美術商として生き残れないのです。


プロとプロの取引きであっても、10個のに1つはニセモノが入っているというのですから、びっくりです。十点に一点はニセモノを嵌め込むから、儲けることができるというのです。


一部の骨董商をのぞいて、商人たちはホンモノとニセモノの二頭の馬を上手に操って世渡りをしています。またそうしなければ経営が成り立ちません・・・プロである店主は相手にふさわしい程度のニセモノをちらつかせる(p75)

相場観が収斂

ただし、鑑定を依頼された品物がニセモノであった場合、大方の骨董商は真実を言わないのが普通だという。なぜならば真実を告げたところで一銭の得にもならないし、相手を傷つけたくないし、告げたがゆえに恨まれでもしたら、お客様を失うことになるからです。


だから、偽物であった場合は、「興味深いものですな」とか「時代ものですね」などと、曖昧な返答をして結論を出さず、その場を逃げてしまうのがプロなのです。


最後に南青山の「骨董通り」の命名者は中島先生だという。そしてテレビ番組を通じて、骨董業界と学術と趣味でばらばらであった相場観が収斂してきたという。中島先生こそ古美術業界に「いい仕事をした」のではないでしょうか。中島さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・骨董好きの中には、私がどんなに忠告しても、頑としてニセモノしか買わない人がいます・・・プロの商人は、その客がどの段階のニセモノが好きなのかということを瞬時に見極める(p55)


・「良いものですよ」といわれたら、こっちは腹の中で「高く仕入れた(これを飛び込みという)ものだから売り逃げたいんだな」と思っていれば間違いない。「安いですよ」といわれたならば、こっちは腹の中で「キズモノかニセモノだな」と思っていればよい(p114)


・昔から骨董業界では「目利き儲からず」といって、目利きが発見した良い品物を、資本力のある業者が吸収して大きな利益を上げることが多いのです(p62)


・よくぞこれだけの名品を波頭万里の果てにある奈良の都に送ってくれたということだ。正倉院に伝えられた唐時代の工芸品には、いい加減なものが一つとしてないのだ。このことは、阿倍仲麻呂を筆頭として日本からの留学生が、秀才で人品いやしからざる人々であったということだ(p108)


・品物がたとえニセモノであっても「大切にしてくださいね」と私は言うことにしている。それは値打ちというものはモノにはなくて、人の心にあるからなのだ(p44)


▼引用は、この本からです
「「開運!なんでも鑑定団」の十五年」中島 誠之助
中島 誠之助、平凡社


【私の評価】★★★★☆(86点)


目次


第1部
 開運!なんでも鑑定団の十五年
 目利き指南
 日本人の美意識と技
 目利きの心得
 真贋の鑑定に必要なもの
 美術鑑定の展望
 愚にかえる
 ニセモノの世紀
 黄瀬戸の酒盃
 日本酒器考
 オイ、一杯やるか
 古伊万里の猪口
 備前焼 他
第2部
 住職に直言
 心の勲章
 ジイジと呼ばれる幸せ
 おばあちゃんの会
 妻への詫び状
 人生の元標
 床屋という場所 他



著者経歴


中島誠之助(なかじま せいのすけ)・・・ 昭和13(1938)年、東京市赤坂区青山高樹町に生まれる。芝学園高等学校、日本大学卒業。平成12年末まで、「骨董屋からくさ」を経営、東京・青山「骨董通り」の名付け親。テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」(テレビ東京系列)の放映開始以来、レギュラー出演。


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