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「ニセモノ師たち」中島 誠之助

2012/08/03公開 更新
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ニセモノ師たち (講談社文庫)


【私の評価】★★★★★(95点)


要約と感想レビュー

■「いい仕事してますねぇ」の
 中島さんの一冊です。


 鑑定団では切り口の良いコメントが
 印象的ですが、本書もすばらしい。


 テレビではわからない
 中島さんの経験を
 ニセモノ骨董品との関わりから
 教えてもらいます。


・目利きの父でしたが、趣味人でもありました・・・蒔絵の名品や精緻な細工ものを手にして「いい仕事だねえ」と感心している様子を見て育ったものですから・・(p59)


■骨董の世界にはニセモノがあります。


 中島さんでさえ、
 ニセモノを買ったことがあるし、
 ニセモノを売ったものもある。


 中島さんのお話を聞いていると
 まったく不正のない人は
 ほとんどないのかもしれません。


 ただ、プロはその中で
 稼がなければならないし、
 心の誇りも維持しなくてはならないのです。


・「目利き儲からず」という言葉が昔から骨董界にありますが、目利きにして人品卑しからずという人の商いは、それほど儲かるものではない(p35)


■中島さんの昔話は
 サスペンスや推理小説のような
 ドキドキ感でした。


 プロを騙すプロもいる。
 あれはホンモノだったのか?
 こんな裏があったとは!
 これは映画になりそうだ。


・まず最初に安いホンモノを提供し、あるいはホンモノで相手を儲けさせておいて、その後でそれを上回る高額のニセモノを提供すると、だいたい落ちる、ひっかかる。(p42)


■骨董商というものは、
 本当は買う側になりたいのだ、
 という言葉が印象的でした。


 好きなものを商売にすると、
 趣味とは違う苦しみが出てくるという
 ことなのでしょう。


 中島さん、良い本を
 ありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・ニセモノが、ジャカルタやバリの骨董店にわんさかあります・・日本人観光客に三十万とか五十万などという中途半端な、それも結構いい値段で売ることができる(p130)


・仏教美術の先生を紹介されたそうです。古美術の世界で「先生」と呼ばれる人ほど気をつけたほうがいいものはない。(p118)


・掛軸は、非常にむずかしい世界です。・・尾形乾山の掛軸は、同じ作品が、鑑定する学者の学会における力関係によってニセモノと判断されたり、ホンモノと鑑定されたりしています(p173)


・誰と誰が競り合ったかを聞いただけで、相関関係がフワーッと浮かび上がり、・・・骨董商の仕事は、表は情報戦であり、裏ではシンジケートの育成にあるといえます(p258)


・人の足をひっぱる業者というのは結局、みんなから総スカンを食い、相手にされなくなるから取引もできなくなる。・・・消え去るのみですね。「つねに相手を称えて、同時に自分を売る」(p261)


▼引用は下記の書籍からです。
ニセモノ師たち (講談社文庫)
中島 誠之助
講談社
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【私の評価】★★★★★(95点)



著者経歴

  中島誠之助(なかじま せいのすけ)・・・ 昭和13(1938)年、東京市赤坂区青山高樹町に生まれる。芝学園高等学校、日本大学卒業。平成12年末まで、「骨董屋からくさ」を経営、東京・青山「骨董通り」の名付け親。テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」(テレビ東京系列)の放映開始以来、レギュラー出演。


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