【書評】「カエルの楽園」百田尚樹
2016/11/16公開 更新

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【私の評価】★★★☆☆(70点)
要約と感想レビュー
ゆっくりと進行する危機に対応できずに死んでしまう「ゆでガエル」という言葉があります。この本では、「日本」を平和を愛するツチガエル、「中国」を肉食のウシガエル、「米国」を楽園を見守るワシにたとえています。もちろん「カエルの楽園」とは、ツチガエルの楽園、日本のことです。
つまり、ツチガエルたちは、自ら武装しないことで、世界から争いが消えるという理想を信じているわけです。争いはいけない。争いは話し合いで解決できる。力に訴えることはカエルとして許されない。話し合いこそ,カエルが取るべき道というわけです。
・この国中のカエルが皆,常に平和を願っている。自分たちの幸せじゃなくて,世界のカエルの幸せを願っている・・世界がこの思想を学べば,この世からすべての争いが消える(p41)
ツチカエルの楽園は、ワシが見守っているため平和が保たれています。しかし、楽園の周辺地域では、肉食のウシガエルがカエルを食用にしていました。そうした恐ろしい状況を訴えるツチカエルもいましたが、多くのツチガエルは平和思想が平和を守っていると信じていたのです。
「ウシガエルを追い払わなければ,この国は乗っ取られるかもしれない。国を奪われたら,いずれは彼らに食べられてしまう」と警告するカエルもいましたが、「考えすぎだ」と主張する市民活動カエルにその声はかき消されてしまいました。平和を愛する諸カエル民とワシの公正と信義を信頼して、楽園の安全とツチガエルの生存を維持できると信じたのです。誠に嫌味たっぷりな設定です。
・一,カエルを信じろ
二,カエルと争うな
三,争うための力を持つな(p169)
結果して、多民族を信じ、戦いを避け、戦う準備のできていないツチガエルは、ウシガエルの食料となってしまいます。そして、楽園といわれた国家は消滅したのでした。日本も消滅しないようにしたいものです。
想定内の内容で面白くありませんでしたが,「現実は小説より奇なり」というたとえ話なのでしょう。百田さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・あんたのじいさんのじいさんの,そのまたじいさんが一度だけ悪いことをしたのを,あんたは永久に謝り続けるのか(p63)
・わたしは他のカエルを殺すくらいなら,殺される方を選びます。三戒を守って,黙って死んでいきます(p199)
・ツチガエルを食べたウシガエルは三匹です。その三匹がたまたま間違いを犯したからと言って,ウシガエル全部を敵と看做すのは愚かなことではありませんか。ウシガエルのほとんどは友好的なのですから(p230)
▼引用は下記の書籍からです。
【私の評価】★★★☆☆(70点)
著者経歴
百田 尚樹(ひゃくた なおき)・・・1956年大阪市生まれ。同志社大学中退。放送作家として「探偵!ナイトスクープ」等の番組構成を手掛ける。2006年『永遠の0』で作家デビュー。他の著書に『海賊とよばれた男』(第十回本屋大賞受賞)等多数。
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