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「ハーバード日本史教室」佐藤 智恵

(2020年6月12日)|本のソムリエ メルマガ登録
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【私の評価】★★★★☆(88点)


内容と感想

■ハーバード大学にはライシャワー
 日本研究所があり、日本の歴史、
 文学、芸術、社会学、建築学、法律など
 について研究が行われいます。


 日本について学ぶ授業も
 年間50~60開講されており、
 学生の人気も高い。


 期末試験では「日本と朝鮮半島・・・
 友好と敵対という側面から、両者の
 関係の変遷を説明せよ」などという
 高度な問題が出題されているのです。


・授業ではどのような書物を教材にしていますか。・・『源氏物語』『今昔物語集』は必ず取り上げますし、仏教の世界観を教えるための教材として『方丈記』を使うこともあります。その他、江戸時代について教えるときは、『放屁論』(平賀源内)、『北越雪譜(ほくえつせっぷ)』(鈴木牧之)など、庶民の生活を描いた作品を課題図書として読んでもらっています(アンドルー・ゴードン)(p37)


■驚嘆すべきは、
 明治維新とは何だったのか?、
 日本の政治の特徴は?
 日本で電化が進んだ要因は?
 太平洋戦争とは何だったのか?
 という質問に教授が端的に
 答えていることでしょう。


 日本人は、どうしても
 薩摩、長州側の視点、
 天皇を中心とした価値観で
 歴史をみてしまいます。


 ハーバードの教授たちの受け答えを
 見ていて、欧米の一流の人には、
 そう見えるのか!と目から鱗でした。


 例えば、室町時代には幕府と
 明が貿易を行っていますが、
 実は函館や青森の十三湊で
 国際貿易が行われていたという。


・安東季久(すえひさ)が14世紀に津軽西浜にある十三湊(とさみなと)拠点を移したのを機に、安東氏は十三湊を国際貿易港として繁栄させていきます・・15世紀半ばに急速に台頭してきた南部氏との戦いに敗れると、十三湊は一挙に衰退し、あとかたもなくなってしまいます(デビッド・ハウエル)(p71)


■ハーバード大学だけあって、
 レベルの高い教授陣に
 私も学びたくなってきました。


 ただ、ハーバード大学だと
 方丈記や源氏物語や今昔物語集を
 英語で読まなくてはならないので
 本を読んで自習したいと思います。


 佐藤さん、
 良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・ハーバード大学で日本史の授業が始まったのは1930年代だが、日本研究が積極的に推進されるようになったのは、1973年に(ライシャワー)日本研究所が設立されてからだろう(p26)


・岡倉天心とタゴールは近しい間柄にあり・・・彼らはともに「西洋の文明は高い理想を掲げているが、その本質は権力、金銭、物質をひたすら追い求めることだ」と批判していました(アンドルー・ゴードン)(p45)


・私の授業では「仁政」(思いやりのある政治)という価値観について教えています。「情け深く、良きリーダーになれば人々はついてくる」という考え方です(デビッド・ハウエル)(p65)


・幕末の倒幕運動の根底にあるものは、徳川幕府体制に対する長年の恨みです・・・積年の恨みに加えて、経済力と軍事力(武士)の両方を備えていたからです。つまり「藩のサイズ」が大きかったのです(アルバート・クレイグ)(p92)


・大久保(利通)の言葉遣いはいつも丁寧で、服装はきちんとしていて、立ち居振る舞いは威厳があり、周りの人を寄せ付けない雰囲気がありました・・・大久保とは対照的に、木戸(孝允(たかよし))は、勝負事が好きで、芸者屋に通い、話し好きな知識人でした(アルバート・クレイグ)(p97)


・日本が明治時代から大正時代にかけて、全国の電化を信じられない早さで実現した・・・欧米の大都市とくらべて、ガスの普及率が遅れていたこと・・・二つ目が東京(江戸)の人口密度の高さです・・・三つ目が鉄道の普及が早かったこと。鉄道とともに電線ものびていき・・・(イアン・ジャレッド・ミラー)(p113)


・アメリカの格差は年々広がっているように思います・・・日本の子どもたちはどの都道府県に住んでいても、公立の学校に通っても、それなりに高い水準の教育を受けられますが、アメリカの子どもたちは裕福な人々が住む町の学校か、私立の学校に通わなければ、良い教育は受けられません(エズラ・ヴォーゲル)(p134)


・授業では、毎年、多くの学生が、・・・「日本の都市に原爆を投下する以外の戦争終結方法を検討しなかった」とトルーマンを厳しく批判しています。決断プロセスの大切さを学べば、学生たちは・・自らがビジネスリーダーとして難しい問題に直面した際にも、正しい決断をすることができます(サンドラ・サッチャー)(p162)


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▼引用は、この本からです

佐藤 智恵、中央公論新社


【私の評価】★★★★☆(88点)



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目次

序 ハーバード大学と日本人
第1講義 教養としての『源氏物語』と城山三郎―日本通史 アンドルー・ゴードン
第2講義 『忠臣蔵』に共感する学生たち―江戸時代 デビッド・ハウエル
第3講義 龍馬、西郷は「脇役」、木戸、大久保こそ「主役」―明治維新 アルバート・クレイグ
第4講義 ハーバードの教授が涙する被災地の物語―環境史 イアン・ジャレッド・ミラー
第5講義 格差を広げないサムライ資本主義―アジア研究 エズラ・ヴォーゲル
第6講義 渋沢栄一ならトランプにこう忠告する―経営史 ジェフリー・ジョーンズ
第7講義 昭和天皇のモラルリーダーシップ―リーダー論 サンドラ・サッチャー
第8講義 築地市場から見えてくる日本の強みと弱み―和食の歴史 テオドル・ベスター
第9講義 日本は核武装すべきか―日米関係史 ジョセフ・ナイ
第10講義 世界に日本という国があってよかった―経済学 アマルティア・セン


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