「スタンフォードでいちばん人気の授業」佐藤 智恵
2019/01/17公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(85点)
要約と感想レビュー
■アメリカの経営大学院が何を教えているのか
調査していた著者が驚いたのは、
その内容が「人間を知り」、
「人間力」を鍛えるという
根本的なものであったことです。
インターネット、人工知能、フィンテック
といった先端技術ではなく
組織という人間関係の中で
経営者はどうすべきなのか、
ということを教えているのです。
例えば「人間を知る」ということは、
人はどうやって商品を買うのかということであり、
マーケッティング活動そのものなのでしょう。
・アーカー教授は、「人間は何かを購入しようとするとき、論理的に決断しているわけではない。まず感情が決断し、その決断をロジックで正当化するのだ」・・その感情に訴えかけることができるのがストーリーというわけだ(p40)
■面白いところは、
欧米で出世するためのコツは、
コーチを雇うことだという。
もちろん仕事で実績を出し、
上司をサポートするのは当たり前ですが、
そこから上に登るためには
上司にふさわしい人間に
ならなくてはならない。
上司にふさわしい振る舞い、
上司にふさわしい考え方を
学ぶための最短コースが
エグゼクティブコーチなのです。
・エグゼクティブコーチをつけて、エグゼクティブとしてふさわしい振る舞い方をトレーニングしてください・・(p142)
■もし私が大学院で教えるのなら・・
納得の内容でした。
こういうところは
アメリカはしっかりしているのだ
と感じました。
日本の経営大学院がどういうことを
教えているのか、もう少し調べて
みたいと思います。
佐藤さん
良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・スタンフォード大学経営大学院のスローガンは、「人生を変え、組織を変え、世界を変えること」(p21)
・実際に出世している人は、謙虚で、誠実で、高潔で、思いやりがあるわけではない(p127)
・日本には「出る杭は打たれる」、中国には「最も声の大きいアヒルから撃たれる」ということわざがある。(p139)
・欧米のグローバル企業で・・成功するためには、他人との違いや自らの能力を積極的にアピールする必要がある、ということです(p139)
・出世の階段をのぼっていくには、人一倍業績をあげて、注目される必要があります。上司が困っていたら、『私がその問題を解決しましょう』と解決策を提案して、その成果をアピールして、昇進の交渉をする。これがアメリカ企業の文化なのです・・(p241)
・事例1 上司に文句をいいたい・・・ピーターソン教授からの回答・・・どの程度信頼関係が築かれているでしょうか。上司はあなたからのフィードバックを歓迎するほど、あなたのことを信頼しているでしょうか・・・そういう間柄でなければ、むやみに苦言を呈するのは危険な行為です(p217)
・アメリカには「バンブー・シーリング」(竹の天井)という言葉がある・・アジア人の出世を阻む見えない天井、という意味だ。女性の出世を阻む天井のことを、「ガラスの天井」と呼ぶことにちなんで・・フォーチュン500企業の役員のうち、アジア系はたったの2%、スタンフォード大学の学部生の21%、ハーバード大学の学部生の22%がアジア系であることを考えると・・(p138)
・エグゼクティブたちはもちろんのこと、テレビ局の記者もカメラがまわっていない時間、ずっとコメントの練習をしているし、弁護士も裁判の前には何十回もリハーサルをする、人前できちんと話せてこそプロフェッショナル、という意識が行き渡っているからだ(p282)
・アメリカのテレビ局では、放送前に必ずパイロット版(試作品)を制作することになっている。これをターゲット層の視聴者に事前に見てもらって、反応がよければ続きの制作ができるが、反応が悪ければお蔵入りとなる(p75)
・欧米では「怒る」というのは交渉術の1つと考えられている・・・有利に交渉をすすめるために、あえて怒る。これはれっきとした交渉術なのです(p258)
・家を売るときにも・・いまひとつの激安物件や、予算を大幅に超える高級物件など、顧客が買わないであろう物件をたくさん紹介した後に、最後の最後で予算より少し高めの優良物件を見せる、というのは常套手段だ(p89)
・フランス料理店が「おまかせコース」を用意しているのは、膨大なメニューの中から選ぶのがいやになってしまう客がいるのを見越してのこと・・・コースを頼んでもらえば、客単価が高くなる(p89)
・ネットフリックスは1997年に創業・・郵送でビデオレンタルをする事業だ。ところが、パソコンで動画を見る習慣が世の中に浸透してくると・・ネットフリックスは、一気に映像配信のほうに注力していったのだ(p106)
・既存の組織で、破壊的イノベーションを新たに起こすのはとても難しい。だから、とにかく別会社、別組織をつくって、そこでどんどんイノベーションを起こして、最終的には会社に還元すればよい、という考え方だ(p108)
・カスタマーサービスに電話をして最も苛立つことはなんだろうか・・・・10分以上待たされ、挙げ句の果てにたらい回しにされたり・・この不快な体験は、悪い評判を招き、顧客を失うことになりかねない(p191)
・「ストーリーを生かしたマーケティング」「ストーリーを取り入れたプレゼンテーション」など今最も流行っているトピック(p28)
・アーカー教授はいう。「ポイントは、『社員がヒーローになるようなストーリー』を見つけることです。(p53)
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幻冬舎 (2017-06-22)
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【私の評価】★★★★☆(85点)
目次
1 人間を探究する授業
序章 自分を変えるために人間を知る
第1章 ストーリーの力――物語は利益をもたらす
第2章 マーケティング――人間の脳には限界がある
第3章 イノベーション――挑戦を阻害するものは何か
第4章 社内政治の力学――出世競争と人間の本能
第5章 リーダーシップ――「いい話」は伝染する
2 人間力を鍛える授業
第6章 スタンフォード流会話術―― 一流は気くばりを忘れない
第7章 スタンフォード流交渉術――戦わない、妥協しない、損をしない
第8章 コミュニケーション――伝えるには「戦略」がいる
第9章 マインドフルネス――何歳になっても脳は鍛えられる
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