「すぐ実践! 利益がぐんぐん伸びる 稼げるFTA大全」羽生田慶介
2019/01/16公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(74点)
■トランプ大統領の保護主義、英国のEU離脱により
日本はCPTPP、欧州FTAを締結し、
低関税で貿易できる機会が広がっています。
この本では、FTA(自由貿易協定)の
基本について学びます。
関税が大切なのは、
関税が輸入価格(CIF価格)に
かかってくるということでしょう。
日本企業の利益率は5~10%くらいですから、
10%も関税がかかったら
輸出しても儲からないのです。
・関税3%は法人税30%に相当する・・・
法人税は税引前利益に課される。
一方で関税は、輸入価格(CIF価格)に
対して課される(p37)
■輸出入については、商社に任せている
という企業が多いのではないでしょうか。
仮に、商社に任せるにしても
FTAの重要性を考えれば自ら調査し、
自社の戦略へ反映させることが
必要なのでしょう。
場合によっては、
工場を海外に持っていく、
海外の会社を買収するという
こともありえるのです。
・実は商社やフォワーダーは「FTAを駆使して
なるべく安い関税率に抑えよう」
という意識があまり高くない。
通関でかかったコストは、関税分を含めて
顧客に請求すればいいからだ(p109)
■FTAのインパクトは、
北米自由貿易協定(NAFTA)の
見直しでもよくわかります。
アメリカの友好国である
カナダ、メキシコでさえ
一夜にしてルールが変わる
可能性があるのです。
羽生田(はにゅうだ)さん
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・関税分野で有効な3つのアプローチ・・・
1 FTA"使い漏れ"解消
2 サプライチェーン最適化
3 コンプライアンス対応(p101)
・FTAのコンプライアンス違反。実は、近年
このリスクが加速度的に大きくなっている。
背景には、「新興国のあら探し」
「FTAルールの複雑化」
「完全自己証明制度の導入」(p148)
・CPTPP・・アメリカの主張で取り入れた22のルールを、
アメリカが復帰するまで「凍結」することになった。
11カ国のうち、6カ国以上が国内承認プロセスを
終える2019年の発効が期待される(p69)
・例えば、日本とマレーシアの関係を見てみよう。
この両国間だけでも、実に4つのFTAが存在しつつある・・
日本マレーシアFTA・・日本ASEAN FTA・・TPP11。
発効または署名済みの協定だけで、3つもある(p214)
・自社が海外に製品を輸出しているわけではなくても、
サプライヤー証明書の存在が、大手取引先が
FTAを活用するためのコンプライアンスを
担保することになる(p59)
・業界や消費者、そして国を憂う企業の役員が、
よかれと思って政府に提言すると、
その内容に関する議論をせずに一言、
「それは業界の総意ですか、御社の意見ですか」
と言い放つ官僚が、今なお存在することも事実だ(p250)
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【私の評価】★★★☆☆(74点)
■目次
はじめに 本当は怖いFTA残酷おとぎ話
第1章 導入編―まず理解すべき通商の基本
第2章 実践編―すぐ始める通商対応
第3章 戦略編―激動の通商環境を生き抜く