【私の評価】★★★★★(90点)
■ハーバードで2005年に行われた
マイケル・サンデル教授の白熱教室です。
サンデル教授の特長は、
日常にある物事について議論することで
哲学上の課題を浮かび上がらせることです。
例えば、高額所得者から
高い税金を取るのは正しいのか。
税金は富を盗むことだ、と考える人もいるし、
富の再配分のためには必要と
考える人もいるのです。
・ノージックは、税金を課すことは所得を取り上げることに
等しいと言う・・リバタリアンにとっては、
再配分のための課税は盗みである・・
課税は道徳的に強制労働に等しい(p102)
■また、「お金」の議論では、
徴兵制と志願制はどちらがいいのか?
代理母の契約は成立するのか?
といった議論が行われます。
徴兵制は平等なのか、強制なのか。
志願制は、命と金を
交感しているのではないのか。
それとも、愛国心の問題なのか。
いろいろな論点があり、
考え方によって結論が変わってくるのです。
・南北戦争の間、北軍は兵士を補充するのに・・・
徴兵によって兵士を採るが、
招集されても軍隊に行きたくなければ、
自分の代わりに誰かを雇うことが認められていた。・・・
これが公平だと思う人、
南北戦争のシステムに賛成する人は?(p165)
■欧米の人は、ルール、ロジックで
議論すると言われます。
つまり屁理屈で勝負する。
そのために理屈を研究する仕組みが必要であり、
その一つが哲学だと思いました。
そして、
サンデル教授は、生徒の名前と意見を覚え、
議論を仕切っています。
すごい記憶力だ。
サンデルさん
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・腹をすかせた家族を養うためにパンを盗むのは
間違っているかな?・・
子どもが死なないように必要な薬を盗むことは
許されるかな?(p118)
・リバタリアニズム[自由原理主義、市場原理主義]・・・
リバタリアニズムは、個人の自由や所有権を含む権利を
非常に重要と考える。(p94)
・功利主義は、最大多数のための最大幸福に
重きを置いているため、
個人の権利を尊重することができない(p67)
・リスク分析センターが行った費用便益分析では、
運転中に携帯電話を使うことでもたらせる便益と、
失われる命の価値はほぼ同じだという結論が出た。・・
命の価値をドルに換算するのは間違いだとは思わないかな?(p58)
・イチローが学校の先生の400倍稼ぐことの公正さについても
意見が一致することはなかった。しかし、私たちは議論を始め、
哲学の大きな考え、三つの違う正義の概念が存在することを
突きとめることができた(p260)
・会費制の消防会社・・・彼の家が火事になった。
消防会社の面々はトラックで到着し、家が燃えるのを
ただ見ていた。・・・家主は火事の現場で契約を
更新しようとしたが(一同笑)、会社の代表は拒否した。
備えを怠っておきながら
後から保険に入ることはできない。(p108)
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【私の評価】★★★★★(90点)
■目次
第1回 殺人に正義はあるか
第2回 命に値段をつけられるのか
第3回 「富」は誰のもの?
第4回 この土地は誰のもの?
第5回 お金で買えるもの 買えないもの
第6回 なぜ人を使ってはならないのか
東京大学特別授業―イチローの年俸は高すぎる?
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