「これからの「正義」の話をしよう」マイケル・サンデル
2010/11/07|

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【私の評価】★★★★☆(85点)
■ハーバード大学で政治哲学「Justice(正義)」として
教えられている授業を基にした一冊です。
「徴兵と傭兵はどちらが正しいのか」
「代理出産契約は正しいのか」
「売春は道徳的か否か」
といった、身近な問題をテーマについて
議論が進みます。
・古代ローマでは、コロセウムでキリスト教徒をライオンに
投げ与え、庶民の娯楽としていた。・・・
この恐ろしい見世物から十分な数のローマ市民が
十分な快楽を得るとしたら、功利主義者が
この見世物を非難できる根拠はあるのだろうか(p52)
■議論においては、
「最大多数の最大幸福」の功利主義や、
自由至上主義、カント、アリストテレスなどが
引用されていきます。
これまでの哲学の本よりも、
興味深いものでした。
たぶん、身近なものの議論のために
哲学を使うことができるんだ!
と発見があったのだと思います。
・売春は道徳的か否かという問題に対しては、
カントはどのような条件があれば、性的能力の利用は
道徳的と見なされるのかと問いかける(p170)
■「哲学」とは、判断基準だとわかりました。
人は人生を生きるなかで、
自分の哲学を作り上げるものなのでしょうが、
自己流だけでなく、他の人の考えも参考にしてみると
また、一つ発見があるのだと思います。
哲学の面白さを再発見させてくれる
一冊とういことで、★4つとしました。
サンデルさん、良い本をありがとうございました。
━━━━━━━━━━━
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・アメリカの金持ち上位1パーセントが
国中の富の三分の一以上を保有・・・
アメリカの上位10パーセントの世帯が
全所得者の42パーセントを手にし、
全資産の71パーセントを保有している・・・。
これは正しいのだろうか(p78)
・連邦議会がジョーダンにバスケットボール・コートへの復帰
(シーズンの三分の一にしても)を強制することが
許されないならば、バスケットボールをして
手に入れる収入の三分の一を諦めるよう
ジョーダンに強制できるのは、
どんな権利によるのだろうか?(p89)
・テキサス州の保安官は最近、国境の監視に役立つ
インターネットの新たな利用法を開発した。
不法は越境が頻発する地点にビデオカメラを設置し、
そのカメラがとらえた映像をウェブサイトで生中継するのだ。
国境の監視を手伝いたい国民はウェブサイトに接続し、
「仮想のテキサス州保安官代理」になることができる(p298)
・アメリカの一流企業のCEOが平均して
年間1330万ドルを手にしているのに対し、
ヨーロッパのCEOは660万ドル、
日本のCEOは150万ドルである
(2004-2006年のデータを使用)(p28)
早川書房
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【私の評価】★★★★☆(85点)
■著者紹介・・・マイケル・サンデル
1953年生まれ。ハーバード大学教授。
専門は政治哲学。
ハーバード大学の学部科目「Justice(正義)」は
その人気から一般公開され、
2010年NHK教育テレビで「ハーバード白熱教室」として放送された。
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