【私の評価】★★★★★(93点)
■元財務官僚がモリカケ問題を
どう見ているのか、
という一冊です。
まず森友学園の問題では、
佐川氏の指示で決裁文書が
書き換えられていました。
マスコミは安倍総理を守るために
佐川氏が忖度したのではないか
という方向で報道していますが、
元財務官僚から見れば、
それはありえない。
なぜなら財務官僚は忖度どころか、
政治家の運命を左右する強い力を
持っているからです。
では、なぜ書き換えたのか。
著者は、安倍総理の「辞める」発言の前から
佐川氏の国会答弁に綻びがあったことを
指摘しながら、
佐川氏が勉強不足から適切な
国会答弁ができなかったため、
答弁との整合を取るため
決裁文書を書き換えたのではないか
と推測しています。
・そもそも、財務省には「首相に忖度しなければ
出世できない」とか「政治家に逆らうと危ない」
などといったプレッシャーはありません・・
むしろ逆に「政治家を潰す」力がある、
といっていいでしょう(p44)
■また、加計学園問題については、
そもそも「行政のあり方が歪められた」
ことは全くなく、
文科省が業界と癒着して
門前払いしていた学部新設の申請の
受付をさせたというだけとしています。
さらに、この問題を最初に報道した
『朝日新聞』では、問題の文書の写真を
掲載していたのですが、
「総理のご意向」という一部を
切り取っていました。
そして、朝日新聞が隠した下の部分には、
これまで拒絶していた獣医学部の
新設を門前払いすることができなくなったが、
首相の指示ということにすればよいのでは、
といった主旨のことが書いてあったのです。
意図的な歪曲というのか、
印象操作というのか分かりませんが
相当悪質と言えるのでしょう。
・『朝日新聞』は最初にこの文書を紹介したときに
「これは総理のご意向だと聞いている」
という部分だけをライトアップした写真を載せ、
その下の部分は巧妙に影をつけて消し去っていました。
しかし、その消された部分には
「国家戦略特区諮問会議決定」という形にすれば、
総理が議長なので、総理からの指示に
見えるのではないか」と書かれてあったのです。
「文科省内の言い訳です」とヒントを
示しているようなものなのですが・・(p79)
■元財務官僚だからこそ、
マスコミが無理筋のストーリーを組み立て、
あたかも正しいことのように
報道していることが
手に取るようにわかるのでしょう。
官僚としての実務経験がなければ
普通の人にはわからないのです。
元財務官僚としての常識と
それぞれについてエビデンスを示して、
問題の本質を説明する姿勢に
感銘しました。
逆に、無理筋であっても
国民に疑惑として浸透させようとする
日本のマスコミの力にも感嘆しました。
高橋さん
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・官僚たちのなかには、・・
「メディアを使って、うまくニュースを
流したり問題を紛糾させたりして、
国民を操ったり躍らせたりするのは簡単だ」
そんなことを(陰でこっそり)
嘯(うそぶ)く人さえいます(p10)
・森友学園問題の本質は、近畿財務局の事務的ミス
だった可能性が高いようにしか思えません・・
「鴻池メモ:が報じられた段階ですでに、
総理などの関与はないと推測していました・・
政治の世界では、ある政治家の案件に、
別の政治家が介入することはまずありません(p28)
・「行政のあり方が歪められた」の大間違い・・
加計学園の件がこじれにこじれたのは、
文部科学前次官の前川喜平氏が『朝日新聞』の
取材に答えて、「行政のあり方が歪められた」
と発言したからです・・
内閣府がした仕事は何かといえば、
文科省が門前払いしていた申請を、
門前払いせずに受付をさせたというだけです・・
申請の受付程度のことに、いちいち
総理が口出しするなどということは、
常識的に考えられません(p74)
・審議会に入っているマスコミの論説委員や
学者に、「本でもお書きになりませんか」と
持ちかけることもあります・・
役人がゴーストライターの役割を務めるのです・・
印税はすべて「著者」となるマスコミ人や
学者の方が受け取ります(p137)
・マスコミには言葉を切り取られる
ということを学んだため、最近は、
マスコミからインタビューを受けるときには、
同じ内容のことをネットメディアに
文章で載せるようにしています(p179)
・電波オークションの問題は、
当然ながらテレビ界では
タブーとされています・・・
「実は、電波利用料は
数十億円しか払ってないけど、
本当は数千億円くらい払わなければ
いけないんですよね」
などと口にしようものなら・・(p201)
・財務省は、海外では英訳した
日本国家の財務諸表を配っています。
それを見せて、「日本は大丈夫です」
といって、国債を売っています・・
国民に対しては財務諸表を伏せて
「財政が危ない」といっているわけです(p283)
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【私の評価】★★★★★(93点)
■目次
第1章 真実はいかに歪められるか―官僚とマスコミの罪と罰
第2章 いまだから明かす、財務省の「マスコミ操縦」
第3章 財務省とはまったく違う「官邸のマスコミ対応」
第4章 新聞・テレビの「特権」を奪え!
第5章 データの扱い方を知らないマスコミ
第6章 マスコミの「知識不足」はフェイクニュースの温床