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「「官僚とマスコミ」は嘘ばかり」髙橋 洋一

本のソムリエ2018/07/05メルマガ登録
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「官僚とマスコミ」は?ばかり (PHP新書)


【私の評価】★★★★★(93点)


要約と感想レビュー

 元財務官僚である著者がモリカケ問題をどう見ているのか、という一冊です。


 まず森友学園の問題では、佐川氏の指示で決裁文書が書き換えられていました。マスコミは安倍総理を守るために佐川氏が忖度したのではないかという方向で報道していますが、元財務官僚から見れば、それはありえない。


 なぜなら財務官僚は忖度どころか、政治家の運命を左右する強い力を持っているからです。


 では、なぜ書き換えたのか。


 著者は、安倍総理の「辞める」発言の前から佐川氏の国会答弁に綻びがあったことを指摘しながら、佐川氏が勉強不足から適切な国会答弁ができなかったため、答弁との整合を取るため決裁文書を書き換えたのではないかと推測しています。


・そもそも、財務省には「首相に忖度しなければ出世できない」とか「政治家に逆らうと危ない」などといったプレッシャーはありません・・むしろ逆に「政治家を潰す」力がある、といっていいでしょう(p44)


 また、加計学園問題については、そもそも「行政のあり方が歪められた」ことは全くなく、文科省が業界と癒着して門前払いしていた学部新設の申請の受付をさせたというだけとしています。


 さらに、この問題を最初に報道した『朝日新聞』では、問題の文書の写真を掲載していたのですが、「総理のご意向」という一部を切り取っていました。


 そして、朝日新聞が隠した下の部分には、これまで拒絶していた獣医学部の新設を門前払いすることができなくなったが、首相の指示ということにすればよいのでは、といった主旨のことが書いてあったのです。意図的な歪曲というのか、印象操作というのか分かりませんが相当悪質と言えるのでしょう。


・『朝日新聞』は最初にこの文書を紹介したときに「これは総理のご意向だと聞いている」という部分だけをライトアップした写真を載せ、その下の部分は巧妙に影をつけて消し去っていました。しかし、その消された部分には「国家戦略特区諮問会議決定」という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか」と書かれてあったのです。「文科省内の言い訳です」とヒントを示しているようなものなのですが・・(p79)


 元財務官僚だからこそ、マスコミが無理筋のストーリーを組み立て、あたかも正しいことのように報道していることが手に取るようにわかるのでしょう。官僚としての実務経験がなければ普通の人にはわからないのです。


 元財務官僚としての常識とそれぞれについてエビデンスを示して、問題の本質を説明する姿勢に感銘しました。逆に、無理筋であっても国民に疑惑として浸透させようとする日本のマスコミの力にも感嘆しました。


 高橋さん、良い本をありがとうございました。



この本で私が共感した名言

・官僚たちのなかには、・・「メディアを使って、うまくニュースを流したり問題を紛糾させたりして、国民を操ったり躍らせたりするのは簡単だ」そんなことを(陰でこっそり)嘯(うそぶ)く人さえいます(p10)


・森友学園問題の本質は、近畿財務局の事務的ミスだった可能性が高いようにしか思えません・・「鴻池メモ:が報じられた段階ですでに、総理などの関与はないと推測していました・・政治の世界では、ある政治家の案件に、別の政治家が介入することはまずありません(p28)


・「行政のあり方が歪められた」の大間違い・・加計学園の件がこじれにこじれたのは、文部科学前次官の前川喜平氏が『朝日新聞』の取材に答えて、「行政のあり方が歪められた」と発言したからです・・内閣府がした仕事は何かといえば、文科省が門前払いしていた申請を、門前払いせずに受付をさせたというだけです・・申請の受付程度のことに、いちいち総理が口出しするなどということは、常識的に考えられません(p74)


・審議会に入っているマスコミの論説委員や学者に、「本でもお書きになりませんか」と持ちかけることもあります・・役人がゴーストライターの役割を務めるのです・・印税はすべて「著者」となるマスコミ人や学者の方が受け取ります(p137)


・マスコミには言葉を切り取られるということを学んだため、最近は、マスコミからインタビューを受けるときには、同じ内容のことをネットメディアに文章で載せるようにしています(p179)


・電波オークションの問題は、当然ながらテレビ界ではタブーとされています・・・「実は、電波利用料は数十億円しか払ってないけど、本当は数千億円くらい払わなければいけないんですよね」などと口にしようものなら・・(p201)


・財務省は、海外では英訳した日本国家の財務諸表を配っています。それを見せて、「日本は大丈夫です」といって、国債を売っています・・国民に対しては財務諸表を伏せて「財政が危ない」といっているわけです(p283)


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【私の評価】★★★★★(93点)



目次

第1章 真実はいかに歪められるか―官僚とマスコミの罪と罰
第2章 いまだから明かす、財務省の「マスコミ操縦」
第3章 財務省とはまったく違う「官邸のマスコミ対応」
第4章 新聞・テレビの「特権」を奪え!
第5章 データの扱い方を知らないマスコミ
第6章 マスコミの「知識不足」はフェイクニュースの温床


著者紹介

  高橋洋一(たかはし よういち)・・・1955年、東京都生まれ。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年に大蔵省(現・財務省)入省。大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、内閣参事官(首相官邸)等を歴任。小泉内閣・第一次安倍内閣ではブレーンとして活躍。(株)政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授。『さらば財務省!』(講談社)で第17回山本七平賞受賞



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