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「サバイバル宗教論」佐藤 優

2014/03/28公開 更新
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サバイバル宗教論 (文春新書)


【私の評価】★★★☆☆(77点)


要約と感想レビュー

 プロテスタント神学を学んだ佐藤 優(まさる)さんが、臨済宗相国寺派の僧侶へ、宗教を切り口に政治、国家、民族について語る一冊です。外交官であった佐藤さんですから、宗教から国家の話に拡大していきます。宗教というものは人間が作りだしたルール。国家も人間が作りだしたルールで構成されており、似ているのかもしれません。


国家というのは国民をだますものだ。えらい人も人をだます。だまされずに自分で判断できるようになるためには勉強が大切だということで,教育に関しては熱心で,私が本を買いたいと言うと買ってくれたし,学習塾へも通わせてくれました(p18)


 現在の国際社会は、自分のブロックを作ろうとする帝国主義的な状況になっていると解説しています。現在のロシアや、中国の行動を見ると、思わず納得してしまいます。民族自決、ブロック経済が進むようだと、経済戦争、実際の戦争も可能性が出てくるのでしょう。


・現実の国際社会は,今,再び帝国主義的な状況になっていて,場合によっては,戦争が起きかねない状況です。このまま放っておくと,尖閣なんかで戦争が起きかねません(p140)


 まだまだ勉強不足であると感じました。歴史、宗教、政治というものは、面白い分野であるようです。


 佐藤さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・私たちは「合意したことは守る」というのは当たり前のように思っていますね。しかし,これはローマ法の約束事です・・・ギリシャの古典劇を見ると,「確かに口では誓ったが,心は誓いにとらわれておらぬ」といった台詞が出てきます(p41)


・自らの努力によって,手の届かないところにも届く力が備わってくるという考え方。こうしたアメリカの宗教的な考え方が,日本に強く影響を与えていますし,日本のエリートはこうした考え方を引っ張ってきました(p82)


・そもそも日本人は成文憲法をつくりたくはありませんでした。今の憲法が押しつけ憲法だとするならば,大日本帝国憲法も押しつけ憲法です。成文憲法を持っていない国には関税自主権を与えない,治外法権を撤廃しないというのが,列強,帝国主義の立場で,日本は嫌々憲法をつくらなければならなかったのです(p160)


・沖縄があるから日本は帝国なんです。天皇神話のもとで均質な文化で一様になっているのであれば,これはネーション・ステート(国民国家)です。しかし沖縄を抱える日本は,異質な領域を包摂しているから,ネーション・ステートではなく帝国なんです。(p182)


・EUも、本質は帝国です。ギリシャとドイツとフランスでは文化が全然違います。歴史的な伝統も違います。それがとりあえず同じ枠の中にある。それからTPPも、アメリカの広域帝国主義政策です。またロシアも、ユーラシア同盟をつくっていくという帝国主義政策を行っています(p206)


・ノルウェーは豊かで,短時間労働も実現していますが,なぜでしょうか。人口わずか500万人しまいませんが,イギリスとの間で北海油田の権利を半分持っているからです(p192)


・スルタン(皇帝)は、奥さんを四人まで持てますから、皇位継承者が数十人になり、その王子たちを競争させて一人が後継の王様になります。そして残りの王子たちは全員殺すんです。後腐れがないように・・・結局、継承した王子以外を全部殺すという制度は廃止されました。そうしたら、逆にオスマン帝国は弱体化したんです(p226)


・日本は政治犯罪がないという建前になっていますけれども、高級官僚は、実質的に政治犯で、時代のけじめをつける、政治的によくない、国家のためにようkないと検察官が思う人たちを捕まえる。これが特捜部の仕事です(p250)


サバイバル宗教論 (文春新書)
サバイバル宗教論 (文春新書)
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佐藤 優
文藝春秋
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【私の評価】★★★☆☆(77点)


目次

第1講 キリスト教、イスラーム教、そして仏教
第2講 「救われる」とは何か
第3講 宗教から民族が見える
第4講 すべては死から始まる



著者経歴

 佐藤 優(さとう まさる)・・・1960年生まれ。日本の作家。学位は神学修士(同志社大学・1985年)。同志社大学神学部客員教授、静岡文化芸術大学招聘客員教授。在ロシア日本国大使館三等書記官、外務省国際情報局分析第一課主任分析官、外務省大臣官房総務課課長補佐を歴任。2002年に鈴木宗男事件に絡む背任容疑で逮捕される。2005年に執行猶予付き有罪判決(懲役2年6か月、執行猶予4年)を受け東京高等裁判所、最高裁判所は上告を棄却し、判決が確定した。


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