「これだけは言っておきたい21世紀への遺言(エール)」糸川 英夫

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これだけは言っておきたい21世紀への遺言(エール)―日本で暮らしたい日本人のために

【私の評価】★★★★☆(89点)


■バブル崩壊中の1996年に
 ペンシルロケットの糸川教授が書いた一冊。


 糸川教授は1987年のバブルまっただ中で
 日本経済が危ない!と警告しています。


 その眼力から見た21世紀は
 どんなものなのになるのでしょうか。


■まず、未来の有望な技術として
 クローン技術、水資源、小水力発電を挙げています。


 特に小水力については、太陽光と比較して、
 発電電力量が多く、安定して出力を出すことから
 有望であるとしています。


 現在でさえ、あまり光が当たっていない
 小水力の有望性を指摘しているのはすごい。


 iPS細胞のようなクローン技術も的中していますし、
 水資源についても最近、重要性が高まっています。


・ボランティアでの水車発電を再考せよ・・・
 年間発電量は同じ定格出力について、水力は太陽の十倍近い・・・
 今流れている水のエネルギーを幾分でも回収しようという簡便な
 水車の場合、もしそれが個人の自由に任せられ、しかも太陽発電
 並みの売電価格だったらなら、それでも利益を上げようとする
 人間、集団はいくらでも出てくる・・(p291)


■国家戦略としては、3点。


 まず、日本をドル通貨圏にしてしまう。
 これで、アメリカとの経済戦争は
 回避することができ、通貨を基軸通貨にできます。


 そして産業のアジア進出の先には、
 "アフリカ"に進出します。


 先の先を読んでいるのですね。


 最後は、封建時代のなごりである
 官僚制度をなんとかする。


 官僚の代替え打ち手としては民間の力を利用した
 第四セクター(NPO等)だとしています。


・円が基軸通貨になれない理由は、第一は日本の円は
 土地本位制で印刷されており・・第二に、通貨発行の
 前提としての土地本位制を防御する能力もない・・・
 世界全体のどこの国の侵略に対しても、それに太刀打ち
 する国力、政治力(理念力)、軍事力がないと、
 円は基軸通貨にならない
(p121)


■17年前の本とは思えませんでした。


 未来はすでに起きている。
 見えている人には見えているのですね。


 糸川さんの考え方を学ぶべく
 書籍を追加購入しました。
 後でご紹介します。


 糸川さん、 
 良い本をありがとうございました。


───────────────────────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・人類は永久に生命を創ることはできない。
 ただ生命を理解することはできる。・・・
 これは生命のクローン系を利用することが
 始まるということでして、巨大な産業を生む(p98)


・水をこれからどう守っていくかは
 人類の新しい仕事になっていくと思います・・・(p241)


・中国をはじめアジアへの進出ラッシュですが、
 その先にはアフリカがあるのです。アフリカまでを
 射程に入れた世界のシステムづくり、新しい創業社会化に
 日本も経済的に参加していくことが、重要でしょう(p267)


・政府が税金でやれば・・・どうしても国債の発行に頼り、
 未来へつけを回すことになります。それなら、第四セクターで
 それをやればどうかというのが私の考え方です(p275)


・「官」は「民」より上位にあるという、
 日本の封建時代の長い歴史を引きずっています・・・
 「シビル・サービス」という言葉を浸透させておけば
 よかった・・・そうすれば、日本ももっと機敏な行政、
 親身な立法の国になっていたでしょう(p202)


・たくさん持っている外準ドルで、
 日本は一体アメリカから何を買うべきか・・・
 アメリカのビルより、アメリカの土地、潜在的に
 まだ利用されていない土地の使用権を
 買うべきだと私は思います(p123)


・円とドルの対立ということが結局問題になるから、
 それは面倒臭いから、今のうちに、そういう問題が起きる前に、
 日本をドル通貨圏にしちゃったほうがいい。(p127)


・私が特に懸念しているのは原子力発電です・・・
 放射性廃棄物といわれるごみが出す放射能は
 数万年にわたって人類を脅かすものです。・・・
 我々の後に生まれる生物系に悪影響を及ぼすことは必至です(p224)


・法律上、官吏としての犯罪(直接管轄における便宜供与=汚職)
 さえ犯さなければ、退職後に地位を利用してお金がもらい放題・・・
 高級官僚ほど高い退職金をもらって退職し、民間や半官の
 法人組織への天下りを繰り返すのが当然となっています(p244)


【私の評価】★★★★☆(89点)

■目次

第1章 世紀末をこのビジネスで乗り越えて二十一世紀につながれ
第2章 二十一世紀大予想
第3章 二十一世紀に日本はアメリカの五一番目の州となる
第4章 二十一世紀のストーリー―断片知識の夢の島を脱出せよ
第5章 ソフトマテリアル・パス―未知の無公害技術
第6章 民主主義から「人間原理」へ―二十一世紀には政治の目標が大変革
第7章 「個在共存」、二十一世紀を予測する条件
第8章 ポピュレーション・セオリーが二十一世紀の哲学になる
最終章 「二十一世紀人類大繁栄」を逆転予測する


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