「テレビの大罪」和田 秀樹

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テレビの大罪 (新潮新書)

【私の評価】★★★★☆(84点)


■非常に大きな影響力を持つテレビへの
 提言をまとめた一冊です。


 その大きな影響力を考えれば、
 テレビの報道姿勢が、国家や個人の運命さえ
 変える可能性があります。


 戦前は、新聞が戦争を煽りましたが、
 今、テレビは何を煽っているのでしょうか。


・死因統計によれば「神経性無食欲症」(拒食症)が
 原因と明記されている死者数が毎年100人前後も出ています・・・
 テレビでは誰もがウエストサイズを58㎝と偽装して、
 周囲もそれを嘘と知りながら「わあ、素晴らしいですね」
 と褒めそやす。(p15)


■この本で指摘する「テレビが煽っているもの」のは、

 細い女性礼賛 ⇒拒食症を生む。

 医療過誤を叩く⇒産婦人科が不足する。

 受験戦争否定 ⇒ゆとり教育が導入される。

 自殺報道   ⇒さらなる自殺の連鎖

 など。


 例えば、医療事故を叩いて訴訟が続けば、
 訴訟リスクのある産婦人科をやろうとする人は
 いなくなってしまいます。


 こうした結果に、
 マスコミは責任を取るのでしょうか。


・マスコミと警察が医療過誤を犯罪として
 徹底的に糾弾することによって、医療は萎縮し、
 産婦人科や小児科のように訴えられるリスクの大きな科の
 医療崩壊を招いているのです(p66)


■テレビというものは、
 政治家を作ることもできれば、
 人を潰すこともできます。


 恐ろしい世界ですが、
 その恐ろしさを知ったうえで、
 報道することが求められているのでしょう。


 和田さん、
 良い本をありがとうございました。


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■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・ひとたび医療過誤が起きると、テレビは一大キャンペーンを 
 はって医者を"殺人犯"としてコテンパンにたたきます。
 そして、それが大きな話題になると、今度は警察が動き出して
 業務上過失致死で医者に手錠をかけてしまうのです(p65)


・WHOなどが自殺報道にまつわるガイドラインを出しています。・・
 ここに掲げた9項目のうちひとつとして、日本のテレビが
 守っていることはありません。・・
 1 短期的に過剰な報道をすることを控える
 2 自殺の原因と結果を単純に説明するのを控える
 3 自殺報道は中立的に伝える。自殺をことさら美しいものとして
   扱ったり、悲劇性を強調しない
 4 自殺手段を詳細に伝えない
 5 実名報道を控える(特に青少年の場合)・・・(p165)


・不良礼賛をやめろ・・・「元不良でも今は弁護士だぜ」
 と、威張ってテレビに出てもらっては困る。
 被害者やその家族が彼らの顔を見たら、
 フラッシュバックを起こしてしまう可能性が高いからです(p90)


・テレビというメディアのもっとも罪深いところは、
 知的レベルの高い人たちが、
 自分たちより知的レベルの低い人たちを
 だまくらかして、社会を悪くしているということ(p110)


テレビの大罪 (新潮新書)
和田 秀樹
新潮社
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【私の評価】★★★★☆(84点)

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■目次

1 「ウエスト58cm幻想」の大罪
2 「正義」とは被害者と一緒に騒ぐことではない
3 「命を大切に」報道が医療を潰す
4 元ヤンキーに教育を語らせる愚
5 画面の中に「地方」は存在しない
6 自殺報道が自殺をつくる
7 高齢者は日本に存在しないという姿勢
8 テレビを精神分析する


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