「東洋の思想家たち」邱 永漢

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東洋の思想家たち (邱永漢ベスト・シリーズ)

【私の評価】★★★★☆(81点)


■「論語読みの論語知らず」とも言われますが、
 はたして私たちは、
 本当の孔子を知っているのでしょうか。


 この本では、台湾出身の邱 永漢さんが、
 孔子の素顔を解説してくれます。


・私の知っている孔子は、仁徳のある男でもなければ、
 清廉潔白な男でもなく、卓見ではあったが、相当のやかまし屋で、
 そのためにあまり恵まれなかった一人のインテリなのである(p11)


■日本の経営者が「論語」を愛読するように、
 孔子の言葉は深みがあります。


 しかし、それは一つの解釈で、
 実際には、孔子は出世を果たせず、
 自分を雇ってくれる王を探して
 14年間も放浪しています。


 あまりに文学青年風の孔子は、
 海千山千の諸国の君主には、
 人気がなかったのです。


・「学びて時にこれを習う」というのは、
 孔子が政客として失敗したあげく、
 教育者に転向してから最後に到達した心境
で・・(p15)


■後年、孔子の弟子たちは、
 孔子の言葉を論語としてまとめました。


 孔子は政治家というよりも、
 教育者としての才能があったのでしょう。


 素顔の女性を見たときのように
 がっかりしないでいただきたい。


 邱さん、
 良い本をありがとうございました。


━━━━━━━━━━━━━━━━━


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・事実、孔子は文学青年上がりの男であった。・・・彼は周公を夢み、
 『詩経』を口ずさみ、古礼にこだわった。
 ことに古来の礼制に対する彼のこだわり方は、
 今日のわれわれをしてむしろ嫌悪をさえ
 催せしめるものがある・・・(p29)


・仁義をモットーとする儒家の思想が一貫して為政者から
 支持されてきた・・・思うにこれは為政者が本来、
 道徳を愛する正義の士であったからではなく、
 彼ら自身が利己的な人間で「なんじら臣民ども」を
 縛ることには必ずしも躊躇しないが、
 自らが縛られることはご免だったからにちがいない(p129)


・「罪は大夫に上らず」といって、
 韓非の時代には、 刑法は
 大臣クラス以上には適用されなかった。(p144)


・虎が犬を服するのは、その牙の威力によるものであるが、
 もし犬に牙を与えれば、
 逆に犬が虎を支配する
ようになるであろう。
 だから、もし君主が臣下のある者に聞いて賞罰を
 決定するようになれば、国民はみなその人を怖れ、
 逆に君主を侮るようになる(p142)


・人を使うことのむずかしさは、無能な者を使うことからのみ
 起こるものではない。無能な者を使えば能率があがらないが、
 賢い者を使えばその賢さに乗じて、こちらをおびやかす(p152)


・政治家の腕に期待することはつねに危険なことである。
 そういう命賭けの冒険をするよりも、
 十人並のボンクラでも大過なく運営していけるような
 政治機構を作ったほうがよい(p158)


・現代日本で「文化人」と呼ばれる一群の人々は、
 口に「平和」を唱え、心に「ソ連中共」と結び、
 しかも一種の特権意識を持った
 異常な人種を指している・・(p161)


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【私の評価】★★★★☆(81点)


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