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「東洋の思想家たち」邱 永漢

2013/03/22公開 更新
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東洋の思想家たち (邱永漢ベスト・シリーズ)


【私の評価】★★★★☆(81点)


要約と感想レビュー

 「論語読みの論語知らず」とも言われますが、はたして私たちは、本当の孔子を知っているのでしょうか。


 この本では、台湾出身の邱 永漢さんが、孔子の素顔を解説してくれます。


・私の知っている孔子は、仁徳のある男でもなければ、清廉潔白な男でもなく、卓見ではあったが、相当のやかまし屋で、そのためにあまり恵まれなかった一人のインテリなのである(p11)


 日本の経営者が「論語」を愛読するように、孔子の言葉は深みがあります。


 しかし、それは一つの解釈で、実際には、孔子は出世を果たせず、自分を雇ってくれる王を探して14年間も放浪しています。あまりに文学青年風の孔子は、海千山千の諸国の君主には、人気がなかったのです。


・「学びて時にこれを習う」というのは、孔子が政客として失敗したあげく、教育者に転向してから最後に到達した心境で・・(p15)


 後年、孔子の弟子たちは、孔子の言葉を論語としてまとめました。孔子は政治家というよりも、教育者としての才能があったのでしょう。


 素顔の女性を見たときのようにがっかりしないでいただきたい。邱さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・事実、孔子は文学青年上がりの男であった。・・・彼は周公を夢み、『詩経』を口ずさみ、古礼にこだわった。ことに古来の礼制に対する彼のこだわり方は、今日のわれわれをしてむしろ嫌悪をさえ催せしめるものがある・・・(p29)


・仁義をモットーとする儒家の思想が一貫して為政者から支持されてきた・・・思うにこれは為政者が本来、道徳を愛する正義の士であったからではなく、彼ら自身が利己的な人間で「なんじら臣民ども」を縛ることには必ずしも躊躇しないが、自らが縛られることはご免だったからにちがいない(p129)


・「罪は大夫に上らず」といって、韓非の時代には、 刑法は大臣クラス以上には適用されなかった。(p144)


・虎が犬を服するのは、その牙の威力によるものであるが、もし犬に牙を与えれば、逆に犬が虎を支配するようになるであろう。だから、もし君主が臣下のある者に聞いて賞罰を決定するようになれば、国民はみなその人を怖れ、逆に君主を侮るようになる(p142)


・人を使うことのむずかしさは、無能な者を使うことからのみ起こるものではない。無能な者を使えば能率があがらないが、賢い者を使えばその賢さに乗じて、こちらをおびやかす(p152)


・政治家の腕に期待することはつねに危険なことである。そういう命賭けの冒険をするよりも、十人並のボンクラでも大過なく運営していけるような政治機構を作ったほうがよい(p158)


・現代日本で「文化人」と呼ばれる一群の人々は、口に「平和」を唱え、心に「ソ連中共」と結び、しかも一種の特権意識を持った異常な人種を指している・・(p161)


▼引用は下記の書籍からです。
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邱 永漢
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【私の評価】★★★★☆(81点)


著者経歴

 邱 永漢(きゅう えいかん)・・・実業家。1924年生まれ。東京大学経済学部卒業。台湾より香港へ亡命し、直木賞受賞作家となる。その後、株の神様、お金の神様といわれながら、事業活動を行い、現在も年間120回飛行機に乗って、東京、台北、上海を飛び回る。著作は約400冊にのぼる。


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