「企業参謀―戦略的思考とはなにか」大前 研一
2011/08/14公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(77点)
要約と感想レビュー
三十二歳の大前さんが、どんな思いでこの本を書いたのか、考えながら読みました。日立の技術者から転職して、マッキンゼーに入社した大前さんは、何も知らない自分に直面します。
そこで、先輩コンサルタントに質問をして、数年でこうしたマッキンゼーのフレームワークをまとめたメモ(本)を作ったのですから、大前さんもすごいけれども、マッキンゼーもすごい。
・私はコンサルティングをしていて、新しい業種に入ったときには必ず「この業界で成功する秘訣は何ですか?」ということを、担当の専門家に聞くことにしている。(p184)
第一印象は、圧倒的な文章力。三十歳とは思えません。そして、コンサルタントとして、データ分析から解決案の選定と実行まで大工程を作って組織を動かしていく。そうしたフレームワークを持っていて、それを活用するというところは参考になりました。
・劣っていると思われる点を集め、箇条書きにする。・・・グルーピングを行なう。・・・共通していえる問題点は何かと考えてみる。(p39)
もし、大前さんが日立で原子力発電の技術者を続けていれば、課題と対策をしっかり提案して、福島第一の事故は起こらなかったかもしれません。または、良い提案をしてもまったく取り上げてもらえないのに諦めて、コンサルタントに転職したのかもしれません。
大前さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・メーカーであっても、つくるところだけ考えていたのでは戦略は出てこないことが多い(p234)
・参謀活動をするスタッフと、ラインの潤滑油的活動をするサポート(例えば資金部とか、人事部・庶務とか)にはっきり分ける必要がある(p276)
・硬直化部門を斬り捨てる・・・不況や低成長だからといって固定費を削減したり、経営規模を一律に引き下げてしまうというのは、成長の機会を阻害することになるだけであろう(p333)
・企業内部でも、どのような分野にいくらくらいの資金を注ぎ込むか、ということにもう少し神経をつかってもよいのではないか(p268)
・改善の見通しを得るために、製品系列毎の経済性を的確に把握しておかなくてはならない。型式別限界利益(%)・・損益分岐点・・・付加価値・・・(p132)
・競合状態の把握・・・型式別シェア・・・強さ・弱さの比較・・・生産能力・・・(p134)
▼引用は下記の書籍からです。
【私の評価】★★★☆☆(77点)
目次
1部 戦略的思考とはなにか
2部 戦略的経営計画の実際
著者経歴
大前 研一(おおまえ けんいち)・・・1943年生まれ。経営コンサルタント。マサチューセッツ工科大学博士。日立製作所、マッキンゼー日本支社長を経て、1992年に「平成維新の会」を設立。1994年マッキンゼーを退職し、「一新塾」「アタッカーズ・ビジネス・スクール」を設立。現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授、スタンフォード大学経営大学院客員教授等を務める。
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