「仕事の夢暮しの夢―成功を生む事業観」松下 幸之助
2011/07/15公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(84点)
要約と感想レビュー
昭和三十年代に書かれた松下幸之助のエッセーをまとめたものです。驚くのは、松下幸之助の見識の深さです。あらゆる分野について、自分の考えを説明しています。「わしは小学校も出ていない」という松下幸之助ですが、経済から経営、人の心までその際限のない智謀に驚きます。
・「天は二物を与えず」というが、逆に「なるほど、天は二物を与えないが、しかし一物は与えてくれる」ということがいえると思う。その与えられたものを、大事にして育て上げることである。(p66)
そして、あくまでもポジティブシンキングです。不景気もけっこう。不健康もけっこう。辛いこともあるが、だからこそ努力をするから成功するのだ、と変換する力を持っているのです。
不景気だからこそ、成果を出せる自分が見いだされるチャンスとなるのだ、不景気だからこそ我が社が選ばれるのだと、良い仕事をしていれば困ることはないとしているのです。
・肝心なことは「不健康またけっこうなり」という気分になることだ。・・・やはり前途に強い希望を持つことだと思う。からだが弱いけれども、この仕事をしたいという強い希望を持つことによって、わが身を処する道が開けてくる(p62)
知見とは、学びながら、自分で考えることだと感じ入りました。そうした集積が、人徳や判断力となったのでしょう。古い本ですが、松下幸之助の偉大さを感じさせてくれる一冊でした。
松下幸之助さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・「まずもうけることから始めよ。しかる後に分配しろ」これが私の事業精神である。(p134)
・不景気は、まじめにやる人はちっとも恐れる必要はない。むしろ不景気の来ることが、自分が見出される契機になる。「国乱れて忠臣あらわる、家貧にして孝子あらわる」で、不景気になって、まじめな商店も浮かび上がってくるものだ(p113)
・世の中は妙なもので、何でも、いいことが三べんつづくと失敗するといわれている。昔から勝って兜の緒をしめよ、ということがある。なぜそういうことをいうのかというと、人間本来の性質として、勝が三べんもつづくと、どうしてもうぬぼれてきて、油断をするようになる。(p188)
・社会のために、よりよき道義を保つ上には、いかなる人といえども、自分を養うだけの金もうけをしなければいけない。・・・安い賃金で働けとか、安いものを売れとかいうようなことをいって、お互いに金もうけのしにくいようなことを奨励するのは、貧困街道を走らすようなものである。(p217)
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【私の評価】★★★★☆(84点)
目次
私の事業経営論
"のれん"に生きる大阪商人
人生を楽しむ私の事業信念
私の闘病戦術
商売のコツを教わった二人の恩人
事業に失敗した話
日本一の借金王
人を生かして使う法
不景気しらずの大阪商法
婦人の事業家
松下経済学第一課
使う人、使われる人の考え方
フィリップス社の教訓
社長の月給は安すぎる
金についての考え方
尺取虫の経営戦法
台風産業株式会社の設立
四つのHが表わす生活信条
金儲け確保省をつくれ
著者経歴
松下 幸之助(まつした こうのすけ)・・・1894年(明治27年)生まれ、 1989年(平成元年)没。パナソニック(旧社名:松下電気器具製作所、松下電器製作所、松下電器産業)創業者。「経営の神様」とも言われる。PHP研究所を設立して倫理教育や出版活動を行う。晩年は松下政経塾を立ち上げ、政治家の育成にも意を注いだ。
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