「北斗の人」司馬遼太郎
2010/08/14公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(77点)
要約と感想レビュー
坂本龍馬も学んだ北辰一刀流。この北辰一刀流を作り上げた千葉周作という人間の人生が、司馬風にまとめられています。
千葉周作のすごいところは、それまでの武道の不合理なところを廃し、あくまで合理的な指導法を確立したこと。当然、それまでの流派との軋轢、戦いとなります。
・勃興するあたらしい勢力というものはつねに旧い勢力とのあいだに軋轢のあるものだ。その軋轢を回避せず、むしろ正面から衝突し、それを契機に飛躍してゆく以外に手がないのかもしれない(p418)
司馬さんの凄さは、千葉周作という人のエピソードを表現していく中で、その時代の雰囲気というもの、千葉という人間というものを示してくれること。
「歴史」の面白さというものは、こうした一人の人間を追いながら、時代の流れというものを考えるところにあるのかもしれません。
司馬さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・浅利家での日課は、午前二時に起き、真暗な道場にて三時間、素振りを繰りかえし、そのあと、浅利家での家事の一つとして薪を何束か割り、六時にめしを食う。午前八時まで読書し、それがおわると道場に出、門人の稽古をつける。(p99)
・才能とは光のようなものだな。ぼっと光っているのが目あきの目にはみえるのだ。見えた以上何とかしてやらなくちゃ、という気持ちがまわりにおこって、手のある者は手を貸し、金のある者は金を出して、その才能を世の中で押し出してゆく(p117)
・ばかだな。おれがすわれと言ったから意味もなくすわり、立てと言わぬからといっていつまでもすわりつづけている。百年そんなことをしていても何もならぬぞ。・・・「反逆しろ」と、孤雲は大声で言った。(p201)
【私の評価】★★★☆☆(77点)
著者経歴
司馬 遼太郎(しば りょうたろう)・・・1923年大阪市生まれ。本名、福田 定一。学徒出陣のため大阪外国語学校蒙古語部卒業後、入隊。終戦後、いくつかの新聞社に勤務。「ペルシャの幻術師」で講談倶楽部賞、1960年『梟の城』で直木賞を受賞。1961年に産経新聞社を退職し、作家生活に入る。『竜馬がゆく』『国盗り物語』『坂の上の雲』『空海の風景』『翔ぶが如く』など構想の雄大さ、自在で明晰な視座による作品を多数発表。1996年逝去。
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