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「「21世紀に生きる」人間に送る十六の話」司馬 遼太郎

2006/09/07公開 更新
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十六の話 (中公文庫)


【私の評価】★★☆☆☆(69点)


要約と感想レビュー

 司馬 遼太郎の16のエッセーをまとめた一冊です。「洪庵のたいまつ」を読みたくて購入しました。「洪庵」とは江戸時代、オランダ医学を学び、適塾という私塾を主宰した緒方洪庵です。適塾からは、大村益次郎、福沢諭吉などが輩出されています。


 江戸時代の学者は自宅で塾を開き、若い人に学問を教えていたのです。学校がなくても教える人がいたのですね。


・江戸時代の習慣として、えらい学者は、ふつう、その自たくを塾にして、自分の学問を年わかい人々に伝えるのである。それが、社会に対する恩返しとされていた。(洪庵のたいまつ)(p376)


 この本で、意外に収穫だったのが、司馬 遼太郎がどのように歴史に興味をもったのかということです。戦地には赴きませんでしたが、日本軍兵士として徴兵された経験が大きかったようです。こんなバカなことをする日本人とは何かと歴史を追求しているうちに、歴史小説家となってしまったというわけです。


 日本人はよい人間であるのに、なぜ戦争を起こしてしまったのか。なぜ、勝てない戦いを始めてしまったのか。なぜ、海軍と陸軍はばらばらに作戦を立てて、対立していたのか、ということです。


・戦い(第二次世界大戦)がおわったとき、当時二十二歳だった私は・・・こうも思ったのです。「むかしは、たとえば明治時代は、あるいは江戸時代は、さらにはそれ以前は、こんなバカなことをする国ではなかったにちがいない」そのことを検証することに、半生をついやしました。(文学から見た日本歴史)(p16)


 司馬 遼太郎の見る歴史観、日本への思いが伝わってくる一冊でした。日本の歴史と司馬 遼太郎に興味のある人にはお勧めです。★2つとします。


この本で私が共感した名言

・こんにち、大小無数の国家が、自国民の利益という二十世の神話を守るために、怪物群のように地球上を横行しています。どこの国にとっても隣国は、悪魔に似ています。なぜなら、隣国は、自国にとって荀子の思想でいうところの"利己的欲望"しかもっていないからです。(訴えるべき相手がいないまま)(p310)


・ただ、さびしく思うことがある。私が持っていなくて、君たちだけが持っている大きなものがある。未来というものである。・・・二十一世紀をたっぷり見ることができるばかりか、そのかがやかしいにない手でもある。(二十一世紀に生きる君たちへ)(p384)


▼引用は、この本からです。


【私の評価】★★☆☆☆(69点)



著者経歴

 司馬 遼太郎(しば りょうたろう)・・・1923年大阪市生まれ。本名、福田 定一。学徒出陣のため大阪外国語学校蒙古語部卒業後、陸軍に入隊。満州へ行き、終戦時は本土の戦車連隊所属。復員後、朝日新聞社を経て、産業経済新聞社入社。「ペルシャの幻術師」で講談倶楽部賞、1960年『梟の城』で直木賞を受賞。1961年に産経新聞社を退職し、作家生活に入る。『竜馬がゆく』『国盗り物語』『坂の上の雲』『空海の風景』『翔ぶが如く』など構想の雄大さ、自在で明晰な視座による作品を多数発表。1996年逝去。


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