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「葡萄酒か、さもなくば銃弾を」手嶋 龍一

2008/10/22公開 更新
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葡萄酒か、さもなくば銃弾を


【私の評価】★★★☆☆(74点)


要約と感想レビュー

 政治の世界は、経営と同じように、絶対に正解というものはありません。ある政策を行うと、必ず反対する勢力がいる。後ろから矢を撃たれたり、足をひっぱられる。アメリカなら、暗殺さえ考えられるのです。


 そしてこれが国際政治となると、国家の運命さえ、左右してしまうという恐ろしい世界です。この本では、そうした政治の世界に住む人々を、一人の人間として描写した一冊です。


・コリン・パウエル・・・黒人大統領が誕生する日が近づいている・・・このとき、出馬に徹底して反対したのはパウエル夫人だった。黒人がホワイトハウスを目指せば暗殺されると信じていたからだ。(p18)


 手嶋さんは個個の政治家のエピソードに光を当てることで、政治の世界を表現しようとしたのでしょう。一人ひとりの政治家の政策、判断、そして生い立ちと深堀するなかで、一人の人間が政策を作り上げ、根回しをし、決断していくという難しさを伝えてくれます。


 私には、ジャーナリストというものは、ニュースを追うのではなく、こうしたニュースの裏側を追うのが王道なのではないかと感じました。(実際には難しいのでしょうが・・・)


・「重要な政治決断の背景に潜む政治家個人の体験を決して軽んじてはならない」(ピーター・ノーマン)(p145)


 ニュースだけではわからない政治の世界ですが、この本を読むと、政治とは研究するに値する深い世界だとわかります。本の評価としては、★3つとしました。

この本で私が共感した名言

・「FSX・・・日本が、独自開発に進んでいけば、十年後には、日本の航空機産業は飛躍的な水準に達しよう。だが、共同開発となれば日本の飛躍を牽制できるはずだ」(ビル・ブラッドレー)(p63)


・「国家間の問題では、力を持つものこそ正義なのである。弱者は悪だと指弾されないよう振る舞うのが精一杯なのだ」(フランスの枢機卿リシュリュー)(p281)


・「テロ支援国家の解除については、今後、六ヶ国協議の関係国ともよく協議して決めていきたい。」アメリカ国務省のスポークスマンはこともなげにこう語った。・・・中国が議長国を務める六ヶ国協議を日米同盟よりも優位に置く(p253)


▼引用は、この本からです。
葡萄酒か、さもなくば銃弾を
手嶋 龍一
講談社
売り上げランキング: 36979


【私の評価】★★★☆☆(74点)


目次

プロローグ 二人の晩餐
1 遥かなりホワイトハウス
2 政治のなかの生と死
3 姿なき交渉者たち
4 外交という戦場
5 日米同盟の光と影
6 超大国に抗いし者
エピローグ 月下美人―若泉敬



著者経歴

 手嶋 龍一(てしま りゅういち)・・・1949(昭和24)年、北海道生れ。外交ジャーナリスト・作家。冷戦の終焉にNHKワシントン特派員として立会い、FSX・次期支援戦闘機の開発をめぐる日米の暗闘を描いた『たそがれゆく日米同盟』を発表。続いて湾岸戦争に遭遇して迷走するニッポンの素顔を活写した『外交敗戦』を著し、注目を集める。2001(平成13)年の同時多発テロ事件ではワシントン支局長として11日間にわたる昼夜連続の中継放送を担った


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