「インテリジェンス武器なき戦争」手嶋 龍一、佐藤 優
2007/07/23公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(85点)
要約と感想レビュー
情報(インテリジェンス)の世界で注目をあびる元外交官とジャーナリストの対談です。諜報についてはほとんどテレビや新聞では書かれませんので、興味深く読みました。
まず、トヨタで設計データを盗んだ企業スパイがいたように、あらゆる国家が情報を集めているのが現実です。日本でも政治家の盗聴事件などがときどき表に出ますが、これは氷山の一角なのでしょう。
佐藤氏は、ほとんどの要人の電話は盗聴されていると考えたほうがいいと断言しています。諜報ネットワークは、政治家、官僚、民間企業、ジャーナリスト・・あらゆるところで活動しているのです。
・上海の総領事館が中国当局から脅迫されて自殺したなら官邸に 報告して然るべきなのに、それもしない・・・弱みを握られいるヤツが外務省幹部にいるんでしょうね(佐藤)(p156)
佐藤氏の持論は、経済力に応じたインテリジェンス能力を日本は持っているものの、それを生かしきれていないというものです。日本には、仕事を中断して、勉強する、充電するといった仕組みが少なすぎるのです。日本の能力を生かしきるためには、人材育成の仕組みが必要であるというのがお二人の結論でした。
・ジャーナリストになると、夜討ち朝駆けで疲弊していく。充電する機会がほとんどない。(手嶋)(p201)
この本自体がお二人の工作活動の一つかもしれませんので鵜呑みにはできませんが、知らない世界があることはよくわかりました。日本でも専門の対外情報機関を作ろうという話もありますので、この関係の勉強もしていきたいと思います。★4つとしました。
この本で私が共感した名言
・ヴァチカン市国は、隠れた情報大国です。・・・そのインテリジェンス能力にはいまも侮りがたいものがある。(手嶋)・・ヴァチカンは怖いですよ。・・・モスクワでもすごい仕事をしていますし。(佐藤)(p89)
・私はロシアの仕事をしていたとき、日商岩井と三井物産を非常に重視していました。この二つの商社には、それぞれ基本哲学があります。(佐藤)(p20)
▼引用は、この本からです。
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【私の評価】★★★★☆(85点)
目次
序章 インテリジェンス・オフィサーの誕生
第1章 インテリジェンス大国の条件
第2章 ニッポン・インテリジェンスその三大事件
第3章 日本は外交大国たりえるか
第4章 ニッポン・インテリジェンス大国への道
著者経歴
手嶋 龍一(てしま りゅういち)・・・1949(昭和24)年、北海道生れ。外交ジャーナリスト・作家。冷戦の終焉にNHKワシントン特派員として立会い、FSX・次期支援戦闘機の開発をめぐる日米の暗闘を描いた『たそがれゆく日米同盟』を発表。続いて湾岸戦争に遭遇して迷走するニッポンの素顔を活写した『外交敗戦』を著し、注目を集める。2001(平成13)年の同時多発テロ事件ではワシントン支局長として11日間にわたる昼夜連続の中継放送を担った
佐藤 優(さとう まさる)・・・英国の陸軍語学学校でロシア語を学び、その後在ロシア日本大使館勤務。モスクワ国立大学哲学部で弁証法神学を講義。2002年、背任と為計業務妨害の容疑で逮捕され、現在起訴休職中。
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