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「ゆっくり学ぶ 人生が変わる知の作り方」岸見 一郎

2022/07/26公開 更新
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「ゆっくり学ぶ 人生が変わる知の作り方」岸見 一郎


【私の評価】★★★★☆(81点)


要約と感想レビュー

やってみたいことは、すぐ始める

「嫌われる勇気」でアドラー心理学を紹介した著者が教えるのは、「今、ここ」から学ぶこと。やってみたいことは、すぐ始めるということです。著者は大学で哲学を学び、原書を読むためギリシャ語やラテン語を学びました。そして、60歳で韓国語を学び始めました。最近はピアノを弾き始めたという。


アドラー心理学を説明した「嫌われる勇気」がベストセラーとなりましたが、カウンセラーとして働きながら、アドラー心理学に興味があったから研究していただけなのです。このように著者の人生は、自分の心が動く方向に向かって進んできただけのように見えました。


学ぶことに目的は必要ない(p18)

知らないことを知るということは楽しい

大学で哲学を学ぶことにしたときも、親に哲学では食べていけないと反対されたそうです。大学で非常勤講師として働いたときも、時給数千円とあまりの薄給に毎週時間をかけてキャンパスまで移動して教えても生活の足しにはならなかたのです。


それでも、知らないことを知るということは楽しいのです。著者が何かを発見したことの感動を追体験できるのが学びなのです。著者は天文学に関心がある友人が、南十字星を見たいから屋久島に行ったという話を紹介しています。学ぶということは、なんの役にたつのかどうかということを超越した知的な満足感を与えてくれるものなのでしょう。


本の一節を読んでゆっくり考えることこそが読書の至福だといえます(p145)

新しいことをはじめてみる勇気

何事もやってみることだと思いました。著者の言うとおり、最初は誰も「できない」のです。そして、仮に失敗したとしても、失敗した時にこそ多くのことを学ぶことができるのです。次に間違わなければいいだけなのです。


私も大学受験のとき、教科書でデカルトの「我思う、ゆえに我在り」という説明を読んで、こんな試験対策の勉強よりデカルトを専門書で読んでみると面白いのではないか、と思ったことがありますが、それで終わりました。今、私たちは知ろうとすれば何でも学ぶことができる環境にあります。やりたいことをやれる環境にあるのですから、やってみればよいのです。


確かに著者のいうとおり、子どもの頃、私たちは知らないから知ろうとしました。だから今からでも、素直に新しいことをはじめてみる勇気を持ってみたいものです。「はじめてみる勇気」という内容の一冊でした。★4とします。岸見さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・思いついたらすぐに書き留める(p159)


・読んでいて面白く知的好奇心を満たせる読み物を教材に選ばなければ長続きしません(p209)


・どんな逆境にあっても、本を読む術を知っている人は現実の困難を超えることができる(p124)


・誤りを認めることは負けだと考える人がいますが、そのような人は自分が人からどう思われるかということにしか関心がないのです(p235)


▼引用は、この本からです
「ゆっくり学ぶ 人生が変わる知の作り方」岸見 一郎
岸見 一郎、集英社クリエイティブ


【私の評価】★★★★☆(81点)


目次

第一章 なぜ学ぶのか
第二章 そもそも学びとは
第三章 読書は学びの源泉
第四章 書くことは学ぶこと
第五章 外国語学習は世界を広げる
第六章 生きることは学び続けること



著者経歴

岸見 一郎(きしみ いちろう)・・・1956年、京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋古代哲学史専攻)。京都教育大学教育学部、奈良女子大学文学部(哲学・古代ギリシア語)、近大姫路大学看護学部、教育学部(生命倫理)非常勤講師、京都聖カタリナ高校看護専攻科(心理学)非常勤講師を歴任。専門の哲学に並行してアドラー心理学を研究、精力的に執筆・講演活動を行っている。


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