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「幸せになる勇気―自己啓発の源流「アドラー」の教えII」岸見 一郎、古賀 史健

2016/03/31公開 更新
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幸せになる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教えII


【私の評価】★★☆☆☆(67点)


要約と感想レビュー

叱ってはいけない褒めてもいけない

哲学者アドラーは、人を叱ってはいけないし、ほめてもいけない、と言っています。なぜなら、ほめたり叱ったりして育てると、人に操作されやすい人間になってしまうから。ほめてくれる人がいなければ、適切な行動をしない人間になってしまうのです。


ところが、そうしたアドラーの教えに素直に従った結果、自分の教える学校が荒れ、生徒に舐められた青年先生が哲人の元に帰ってきました。よくあるパターンのように感じます。適切に褒める、叱るをフィードバックしないと、舐められてしまうことがあるのです。彼は、褒めてもいけない、叱ってもいけない、というジレンマの中で、結果的に、生徒に舐められてしまったということです。まじめな人が陥りそうな罠と感じました。


哲人 「あなた」が子どもたちに対して尊敬の念を持つ。すべてはそこからはじまります・・
青年 わたしが?5分と黙って人の話を聞くことのできないあの子たちを?(p41)

先生に優位な立場に立とうとする権力争い

子どもはある意味、素直であり残酷です。こいつは何をしても怒らないなと思えば、何でもする。本当は、必ずその代償を払うときがくるのですが、それが子どもにはわからないのです。子どもは未熟であるがゆえに、残酷でもあるのです。


そして積極的な子どもは抵抗する。消極的な子どもは従わないことで、先生に対して優位な立場に立とうとします。これが権力争い、主導権争いです。そうした状況に対して、私たちはどういう態度、反応をすればよいのでしょうか。


消極的な子どもたちは「不従順」によって、権力争いを挑んできます・・ただ不従順を貫くことによって、自らの「力」を証明したいのです(p96)

臆病も勇気も伝染する

哲人の青年への答えは、「愛」であり、「尊敬」でした。たとえ、悪い子供がいかに悪く、「かわいそうなわたし」を訴えようと何もかわりません。語り合うべきは、まさに、「これからどうするか」なのです。それが「愛」と「尊敬」ということです。


アドラーは、「臆病は伝染する。そして勇気も伝染する」と言っているように自らの想いが、相手に伝わるということなのでしょう。ただ、「愛」はいいのですが、青年先生はその答えを、真に理解したのでしょうか。答えは自ら探すしかなく、悩みが続くように思います。愛を持って、自分が悲しいこと、静かにすべきことを伝える必要があるのではないかと思いました。


そういえば、経営不振に陥ったJALを稲盛さんが立て直そうとしたとき、稲盛さんは社員に対し礼儀正しく接した一方で、収支管理を徹底し、責任と権限を明確にして厳しく経営を管理しました。誠意を持ちつつ、責任を追及する。そうした筋を通した姿勢に答えがあるように感じました。もう少し私も考えてみます。岸見さん、古賀さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・教育が目標とするところ、一言でいうとそれは「自立」です(p36)


・子どもたちの決断を尊重し、その決断を援助するのです・・「自分の人生は、自分で選ぶことができる」という事実を学んでくれるでしょう(p125)


幸せになる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教えII
岸見 一郎 古賀 史健
ダイヤモンド社
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【私の評価】★★☆☆☆(67点)


目次

第一部 悪いあの人、かわいそうなわたし
第二部 なぜ「賞罰」を否定するのか
第三部 競争原理から協力原理へ
第四部 与えよ、さらば与えられん
第五部 愛する人生を選べ



著者経歴

岸見一郎(きしみ いちろう)・・・哲学者。日本アドラー心理学会認定カウンセラー。日本アドラー心理学会顧問。1956年京都府生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋哲学史専攻)。前田医院精神科勤務後、専門の哲学と並行して、1989年からアドラー心理学を研究。精力的に執筆・講演活動を行っている。多くの大学の非常勤講師を務める。


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