「「君主論」55の教え」ニッコロ・マキアヴェリ
2016/03/30公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(91点)
要約と感想レビュー
「君主論」とは、官僚であるニッコロ・マキアヴェリが書いた16世紀のイタリア・メディチ家に対する性悪説に基づく助言です。
その支配者としての基本は、市民から愛され、恐れられること。そして、避けるべきは、市民からの憎しみと軽蔑です。
・自らが治める市民に愛されることはもちろんけっこう。また、恐れられることもけっこうだ。しかし、憎まれることと、軽蔑されることはあってはならない(p7)
では、軽蔑される行動とは、どういうものでしょうか。それは、まわりのアドバイスにふりまわされること。自分の考えに信念がなく、判断がぶれるリーダーです。
リーダーは好かれる必要はありませんが、恐れられる必要があります。いわんや部下の助言に右往左往するようでは、部下から舐められてしまいます。部下をコントロールできなければ、組織は成り立たないのです。
・まわりのアドバイスばかり聞いて、それにふりまわされていると、君主にとってもっとも恐ろしいことの一つ、「軽蔑」を招く(p9)
君主と市民という関係を上司と部下に置き換えれば、現代社会にも通じる考え方で、とてもリアルに感じました。優秀であっても、自分に逆らう可能性のある部下は遠ざけたほうがいい。やはり組織としては、部下に舐められるとだめなのです。
マキアヴェリさん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・部下は「潰すか」「伸ばす」かだ(p20)
・そもそも人間は、「恐れている者」を傷つけるとうことにはためらいを持つが、「愛している者」を傷つけるということには、ほとんどためらいを持たない(p83)
・リーダーになるために必要な「九つの条件」・・
1 敵からの脅威を受けずに、回避すること・・
4 市民や兵士に愛されつつも、怖れられるようにすること
5 リーダーを攻撃する可能性を持つ者を抹殺すること(p121)
・あなたが新しい領土を手に入れて、その地をマネジメントすることになったとしたら、次の二つの鉄則を思い出してほしい。
1 旧リーダーの家系を、完全に根絶やしにしてしまうこと
2 その土地の法律や税制は変えないこと(p25)
・もし抵抗する者が現れた場合には、軍事力をもってしてでも、その信念をつらぬく準備が必要となる(p56)
・ボルジア公のような冷酷なリーダーは、きわめてごくわずかな罰を、わずかな者たちに与えるだけである。したがって冷酷なリーダーは、無法地帯を放置し、たくさんの人々に被害を与えてしまうリーダーよりも、よっぽど「慈悲深い」(p80)
・スキピオの慈悲心があまりにも深すぎた・・彼がリーダーでなかったら、みなから愛されていただろう。しかし、ことリーダーの座についたら、そのキャラクターはただ有害なのである(p89)
・もし傭兵長が有能であれば、リーダーは彼を決して信用してはならない。なぜなら、彼は自らの雇い主であるリーダーに圧力をかけたり、逆らったりして、つねに権力の強化を狙っているからだ(p157)
・リーダーにとっては、中立でいることよりも、明確に味方と敵を分けておくほうが、つねに有益なのである(p215)
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【私の評価】★★★★★(91点)
目次
第一章 「頭のいいリーダー」が、いつも心がけていること
第二章 成功するリーダーは、こんな「資質」を持っている!
第三章 偉大な先人から、「マネジメントの極意」を学べ
第四章 もっとチームを強くする、「人を動かす」原理原則
第五章 プロフェッショナルなら知っておきたいこのスキル
第六章 「本物のリーダー」へと、今まさに進化しているあなたへ
著者経歴
二ッコロ・マキアヴェッリ(Niccolo Machiavelli)・・・(1469-1527)イタリア・ルネッサンス期のフィレンツェ共和国の政治思想家。少年時代より独学で古典教養を身につける。外交・内政・軍事の官僚政治家となりイタリアはもちろん、フランス、スイスなどで活躍、さまざまな君主と身近に接する機会を持つ。1512年、共和国がメディチ家に倒されると職を失う。メディチ家に提出すべく『君主論』を執筆、没後出版された。理想主義的な思想の強いルネサンス期に、政治を道徳や宗教から切り離した現実主義的な政治理論を創始した。
読んでいただきありがとうございました!
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