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「アドラー性格を変える心理学」岸見 一郎

本のソムリエ 2022/06/02メルマガ登録
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「アドラー性格を変える心理学」岸見 一郎


【私の評価】★★★★☆(84点)


要約と感想レビュー

 1927年に出版されたアドラーの著作「性格の心理学」の内容を引用しながら、解説してくれる一冊です。アドラーは心理学の巨頭と言われますが、フロイトよりは成功哲学の考え方にも近く一番まともに感じます。


 人の行動の裏には、心理的な必然性があります。例えば、黒板消しを先生に投げつける子どもは、自分を実際よりも大きく見せようとしている。それを皆にも自分にも証明しなくてはならず、権威に反抗しているという分析をしています。現代ではマウントを取る主婦が話題となりますが、アドラーに言わせると、自分を実際より大きく見せ、それを皆にも自分にも証明しようとしているという点で、子どもと同じとわかります。


 相手を下げることで、相対的に自分の価値を高めようとするのがマウントであり、この本では虚栄心の強い性格であるとしているのです。劣等感が基なので、劣等感が強ければ強いほどマウントは強くなるのです。


・「先生は心理学を教えている人だから、私が今、何を考えているかわかるでしょう?」・・・私の価値をおとしめて、相対的に自分の価値を高めようとする・・虚栄心が強い(p29)


 不安で動けない人について、分析しているところがあります。なにかと理由をつけて、動かない人、外に出られない人です。アドラー派のカウンセラーは、その不安が誰に向けられているものなのかを対話の中で探ります。つまり、不安の元は人間関係であり、その「相手」がいるはずなのです。そして「相手」との関係において患者が不安を必要としていると考えるのです。


 外に出られない人は、不安から出られないのか、それとも他者と関わらないために不安を作り出しているのかと考えれば、アドラーは不安を作りだしていると考えるのです。アドラーは、この人は元々他者との関係を作ろうとしていないと考えるわけです。


 アドラーは「不安は連帯によって取り除かれうる」と言っていますが、不安の元となっている人間関係を、適正なものに置き換えれば不安がなくなるのです。外に出られない人がいたとすれば、周囲の人がその人と仲間になれるような人間関係を作ってあげることが解決に必要なのでしょう。


・不安・・・ためらいの態度を取り、そうすることで、自分が今向かい合うべき課題から逃げることができ、少なくとも積極的に取り組もうとしなくてすむ(p66)


 後半は、怒り、悲しみ、不安、喜び、同情、羞恥心について分析しています。例えば怒りとは、敵に対して勝利を収めることだけを目標として持って、怒りによって自分を押し通すとしています。怒りは横柄な人によく見られる情動で力をもって自分の考えを押し通すことで自分の優越性を証明し、一番になること、他の人よりも常に優位に立ちたい、他人を支配したいという思いを満たしているわけです。


 一方で悲しみについては、悲しんている自分を示すことで、自分を悲しませた相手を非難しているとしています。これは喧嘩をしている時、怒りをぶつけてくる人もいますし、泣き崩れてしまう人もいます。それぞれの人が、それぞれの手法で相手を攻撃しているということなのです。


 なかなか興味は尽きませんが、今週末にはアドラーの読書会がありますので、興味のある方はどうぞ。


 岸見さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・性格は生得的なものではなく、自分が選んだと考える(p14)


・子どもが怠惰であるのは、それが子どもの人生を楽なものにし、それでいながら、自分が重要であることを主張するために適当な手段だからだ(p239)


・叱られ、ほめられて育った子どもは、人からどう思われるかということを気にしてしまうことで、自分の人生を生きられないことになってしまう(p37)


・羨望は有用なものでなければならない・・・わずかな羨望は大目に見るべきである(p45)


・笑い方がよかったら、よい人間である(p97)


・いい人であるのをやめましょう。怒りを感じた時には、正直にいったほうがいいです・・・「今あなたの態度にすごく腹が立った」(p160)


・子どもにたずねないで援助の手を差し伸べるようなことをすれば子どもは依存的になります(p173)


▼引用は、この本からです
「アドラー性格を変える心理学」岸見 一郎
岸見 一郎、NHK出版


【私の評価】★★★★☆(84点)


目次

序 章 「性格は変わらない」は本当か?
第2章 虚栄心・嫉妬・憎しみ――攻撃型は意識的に強調する
第3章 控え目・不安・臆病――防衛型は課題から逃避する
第4章 快活・かたくな・気分屋 ――その他の性格の表現形式
第5章 怒り・悲しみ・羞恥心――情動は性格の亢進である
第6章 第一子・第二子・末子・単独子――きょうだい順位の傾向を探る
終 章 性格を変えれば、人生は変わる



著者紹介

 岸見 一郎(きしみ いちろう)・・・1956年、京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋古代哲学史専攻)。京都教育大学教育学部、奈良女子大学文学部(哲学・古代ギリシア語)、近大姫路大学看護学部、教育学部(生命倫理)非常勤講師、京都聖カタリナ高校看護専攻科(心理学)非常勤講師を歴任。専門の哲学に並行してアドラー心理学を研究、精力的に執筆・講演活動を行っている。


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