「定年をどう生きるか」岸見一郎
2021/04/06|

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【私の評価】★★★☆☆(75点)
内容と感想
■アドラー哲学を紹介した『嫌われる勇気』の
著者が考える定年後の生き方です。
本のソムリエも55歳になったので、
この本を手にしました。
著者は精神科の病院に勤めていたとき、
本の翻訳の仕事をしていたという。
また、哲学の先生でも休みの日に
小説を書いている人もいる。
こうした興味のあること、
儲からなくても楽しいことなどを
今からやってみるのも
定年後に役立つようです。
ただ、著者は定年後のために
何かを準備しておくという意味ではなく、
自分のやりたいことを今やるという意味で、
それは仕事がある時でも定年後でも
同じことなのです。
・早くからこのような副業や趣味を見つけておくことが、定年後の人生にとって大切だと思いますが、・・・働いている時に副業や趣味があり、それを楽しみに生きられるのがいいように思います(p65)
■仕事によって自尊心を維持していた人が
定年になって仕事がなくなると
不安になり家の中で昔の状態を
維持しようとしてトラブルになる
ことがあるようです。
会社では威張っていても
職位によって何も言われませんが、
家で威張っていては
反発されることになるのでしょう。
特に感情的になってしまう人は、
心の底では自信がないので
そうしないと自分自身を維持できない
ということなのです。
仕事が生きがいであっても
問題はないと思いますが、
いずれ仕事は定年でなくなる
ということも考えておく
必要があるのでしょう。
・感情的になって大きな声を出したり、まわりの人を叱りつけたりする人は、自信がないので、普通にしていれば自分が認められないと思っているから、感情的になることで上に立とうとするのです(p77)
■定年の本ではありますが、
定年について考えるということは、
結局、どう生きるのかということに
収斂(しゅうれん)していくようです。
人は死ぬまで生きるのですから、
組織の中で生きられなくなれば
新しい生き方をはじめるしかないのです。
その場所、その場所で楽しく生きていく
ことが大切であるように感じました。
哲学として考えると固いのですが、
成功法則と何も変わるところはないのです。
岸見さん
良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・定年で会社を辞めれば、もう会社は何もしてくれません。しかし、本当に怖いことは別のところにあります。会社という組織に属さなくなると、誰からも注目されなくなることです(p38)
・仕事だけに生きがいを感じていた人は、定年を迎え・・・たちまち生きがいを失ってしまうことになります(p66)
・企業研修・・・私は、人は働くために生きているのではなく、生きるため働いているのだという話をしたのです(p122)
・成功するためには何かを成し遂げなければなりませんが、人は何も成し遂げなくても、幸福である、今生きていることがそのまま幸福であるということです(p123)
・心の病気・・・仕事に生きたくなくなった時にどうすればいいかといえば、病気になる前に休む決断をすることです・・・逃げるところがあると思っていることは大切です(p36)
・私は精神科の医院に勤めていた時に翻訳の仕事をしていました・・・翻訳をしていたのは、日々のカウンセリングをする中で、翻訳を通じて多くのことを学べ、それが仕事にも有用だと考えたからです・・・上司はよくは思わず、そのことでぶつかったことがありました(p64)
【私の評価】★★★☆☆(75点)
目次
第1章 なぜ「定年」が不安なのか
第2章 定年に準備は必要か
第3章 あらためて働くことの意味を問う
第4章 家族、社会との関係をどう考えるか
第5章 幸福で「ある」ために
第6章 これからどう生きるのか
著者紹介
岸見一郎(きしみ いちろう)・・・哲学者。日本アドラー心理学会認定カウンセラー。日本アドラー心理学会顧問。1956年京都府生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋哲学史専攻)。前田医院精神科勤務後、専門の哲学と並行して、1989年からアドラー心理学を研究。精力的に執筆・講演活動を行っている。多くの大学の非常勤講師を務める。
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