「Beyond the Label「こうあるべき」の先にある、自分流リーダーシップと成功の形」モーリーン シケ
2021/04/07公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(81点)
要約と感想レビュー
業績を上げた人が昇進していく欧米企業
著者はロレアルとGAPで商品企画のプロとして頭角を現し、GAPの系列ブランド「オールドネイビー」を立ち上げ大成功させました。その後2003年からシャネルのCOO兼アメリカ支社長からグローバルCEOとなり業績を3倍にしたという。
この本では、常に業績を上げた人が昇進していく欧米企業の雰囲気と、業績を意識しながらも人間関係にも配慮が必要である組織の力学などが垣間見え、面白い。
特に著者は女性なので、欧米であってもトップを狙える女性はごく限られていることがわかります。管理職や役員となれば管理職向けの教育があるだけでなく、コーチが付いてコーチングされたり、360度評価をフィードバックされるというのです。そうした人事評価の中からトップが選抜されるのです。
著者はコーチングや360度評価を受けることで、それまでは短所だと思っていた部分について、逆の見方ができるようになったという。もちろん、自分のリーダーシップの問題点や課題も突き付けられ、対応することになったという。
リーダーシップ・ジャーニー・・・リーダーたちは自分のパーソナルコーチを選び、改善または強化したい点を決めて取り組む・・・各事業部が結束して革新的なプロジェクトを立ち上げ、各チームが長年の課題に対し、新たなアプローチで取り組んだ(p263)
部下の意見を聞きながら組織を動かす
さらに、興味深いのは欧米企業であっても、トップダウンが必ずしも受け入れられるわけではないということです。もちろんトップが創業者であれば、長年の信頼関係の中で組織全体が動いてくれるでしょう。しかし、彼女のように落下傘のように外部からトップになった場合、メンバーが本気で協力してくれるのを期待するのはナイーブすぎるのでしょう。
実際、彼女がシャネルのトップになって導入を計画したリーダシップ・プログラムは、独断的と見られ、雰囲気が悪くなり、中止することになっています。その後、彼女は、どんな会議でも、「なぜ~ですか?」「なぜ~しないんですか?」という素朴な質問をたくさんするようにしたという。部下の意見を聞きながら、組織全体を動かすことが大事なのです。
私がやってしまったように、リーダーが自分の意見や計画を強引に推し進めようとすると、チームの人たちはひそかに反発するか、正面切って異を唱えるか、命令だからと形だけ従ってみせるかだろう。いずれにしろ、悲惨な結果を招く(p50)
コーチを活用
おもしろいと思ったのは、管理職がコーチの助言のもとで、業務改善プロジェクトを計画・実践することもあるということです。セミナーに参加させてもなにも変わらないのなら、コストをちょっとプラスしてコーチを活用しながら業務改善を実践させてみるというもの良いかもしれませんね。
常に成果が求められる欧米のトップの雰囲気が伝わってきました。モーリーンさん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・今後はつねに1万2千名の目が、私の一挙手一投足を見つめ、私のビジョンや指導を求めることになる。私の見積もりでは、新しい構想を練るのに三ヶ月、取締役会に私の真価を示すのに三ヶ月、野心的な目標をチーム全体に浸透させ、鼓舞するのに三ヶ月かかると見ていた(p226)
・自分がなにをしたいのか、どこを目指したいのかを悟るには、プレッシャーがかかって気が散る状況から一瞬でも抜け出し、表面的なことにとらわれずに、自分にとってなにが本質的にいちばん重要なのかを考えてみよう(p188)
・小学校の卒業式。お友だちと親子みんなで遊ぶ約束をしたとき。娘たちの人生において大切な瞬間に、そばにいてられないことがあまりに多かった。もっと寝る前に本を読み聞かせて、寝かしつけてやりたかった(p197)
▼引用は、この本からです
モーリーン シケ 、ハーパーコリンズ・ ジャパン
【私の評価】★★★★☆(81点)
目次
第1章 息を吹き返す
第2章 新しい目で
第3章 チャンスに身を任せて
第4章 ロード・トレーニング
第5章 得意分野はどこに
第6章 微妙なライン
第7章 頭角を現す
第8章 リーダーへの道
第9章 すべてを手に入れる
第10章 直感は告げる
第11章 相反する要素の組み合わせ
第12章 コルセットを壊す
著者経歴
モーリーン・シケ(Maureen Chiquet)・・・イェール大学にて文学を専攻。卒業後に渡仏し、1985年よりロレアル・パリにてマーケティング職に就く。アメリカへ帰国後はGAPに入社し、マーチャンダイザー(商品企画)の道に進んだ。系列ブランドのオールドネイビーの立ち上げにナンバー2として携わり伝説的な大成功をもたらしたのち、同じく系列ブランドのバナナ・リパブリックの社長に就任。2003年にシャネルに移り、COO兼アメリカ支社長を経て、同社初のグローバルCEOとなる。2016年に退任。
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