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「リンボウ先生の文章術教室」林 望

2022/07/02公開 更新
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「リンボウ先生の文章術教室」林 望


【私の評価】★★★★☆(82点)


要約と感想レビュー

 「イギリスはおいしい」の林先生が、跡見学園女子短期大学で1年間行った作文の授業の内容を教えてくれる一冊です。タイトルでいう文章術とは、ビジネス文章ではなくエッセイ、随筆です。読んだ人が「おもしろい!」と思ってもらえるような文章を書く訓練です。


 だから、結論を先に教えておいて、意外が事実や経緯を説明していくという流れでもよいし、結論を教えずに、いろいろなことを説明して、最後にで意外な結論で落とすという構成でもよいのです。いずれにしろ、読む人が「えー、そうなんだ」と思わせるような「ひねり」がほしいところです。


・論理という「骨組み」に対して、それをどのように述べるかといういわば「肉づけ」ですね、それがなくてはなりません(p36)


 この本のよいところは、文章術の生徒が書いたエッセイの添削例が12例示されていることでしょう。ただ文章を書くだけでは、文章術は自己流のままで進歩することはありません。悪い点を修正されるから、文章術が上達するのです。


 ムダな言葉があれば、削除する。表現は「困惑」がよいのか「ギョッとした」がよいのか。体言止めは使いすぎると、単調にならないか。タイトルに驚きがあるか。実際の文章を添削してみると、ちょっとした修正で、印象が大きく変わることに驚きます。適切に「描写」していくことで、読む人をワクワクさせてくれる文章になることがわかりました。


・自分の文章に対して冷酷になれるかがポイント・・ちゃんと先生についていちいち欠点を直される・・・厳しい批判にさらされてこそ初めて、すべてのことは上達するんです(p182)


 新聞社の中には「角度をつけて」書く会社があるようですが、エッセイならさらに角度をつける必要があるのだと思いました。どうせなら楽しく読んでほしいし、どうせなら多くの人に読んでほしいからです。


 ちなみにこのメルマガでは、「角度をつける」ことを一切考えていませんので、商業的にはマイナスだと思います。無料メルマガであり、私のメモ的なものですので、ご容赦ください。


 文章術の本の中では、具体的で実効性が高い印象でした。本の評価としては★4とします。


 林先生、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・一時間・・・各自外へ出て観察していらっしゃい。そして詳しくメモをとってきて、・・・その観察したことを写生文として書いてごらんなさい(p38)


・敬体というのはいわゆる「です・ます調」・・・常体というのは「だ・である調」・・・文章の原則は常体ということです(p48)


・「感激して大泣きした」なんて書いている人もいたけど、そんなこと書いたってだめなんです・・・具体的にどういう状況であったのかってことを、きちんと客観的に押さえる(p177)


▼引用は、この本からです
「リンボウ先生の文章術教室」林 望
林 望、小学館


【私の評価】★★★★☆(82点)


目次

第1部 リンボウ先生の文章術講義
第2部 リンボウ先生の添削講義



著者紹介

 林/望(はやし のぞむ)・・・1949年東京生まれ。作家・書誌学者。慶應義塾大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授等を歴任。『イギリスはおいしい』で日本エッセイストクラブ賞、『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』で国際交流奨励賞、『林望のイギリス観察辞典』で講談社エッセイ賞を受賞


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