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「臆病ネコの文章教室」川上 徹也

2020/05/01公開 更新
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【私の評価】★★★★☆(80点)


要約と感想レビュー

コピーライター・広告のプロが教える、心理学を利用した人を動かす文章術です。タイトルに「臆病ネコ」とあるように「自己主張ができない弱気さん」向けの本であるとしています。これもターゲットとする顧客を絞り込むというマーケティングの基本を活用しているのでしょう。


テクニックの説明は、それぞれ事例を示しての羅列的なものとなっています。例えば、「土星の輪は一体何でできているのだろう?」と「謎かけ」を使えば文章を最後まで読んでもらえる可能性が高まるのです。同じように「繰り返し効果」なら、対面で1回だけお願いするよりも、少し間をあけてメールで同じお願いをした方が、承諾の割合が上がるというデータも紹介しています。


・企画書や依頼文には、何よりもまずその「目的」や「目標」、「理由」をきっちり書くこと・・・理由はたいしたものじゃなくて大丈夫(p74)


こうした人を動かす心理学は欧米で活用されているイメージがあります。例えば、臓器提供意思同意率は日本は12.7%ですが、オーストリア、ベルギー、フランス、ポーランド、ハンガリーなどではほぼ100%です。これらの国では臓器提供をデフォルトにしてして、提供しない場合に意思を表明する仕組みだから100%なのです。そういう意味では、日本では臓器提供者が減るように心理学的に操作しているとも言えるのでしょう。


・選択肢が1つしかない案内ではなく
 □・・ネコと楽しく遊べるイベントに参加します
 □・・ネコと楽しく遊べるイベントに参加しません
 と、不参加の場合も意思表示をしなければならないようにするとともに、楽しいイベントなのに参加しないの?という「暗示」をかける(p142)


心理学のテクニックは、ナイフと同じように良いことにも活用できるし、悪いことにも活用できます。だからこそ多くの人に心理学のテクニックを知ってもらい良いことに活用してもらいたいと思いました。川上さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・イギリスでは税金の未納者が多く・・・回収できた未納金はたったの57%・・・ワンフレーズを加えただけで、回収率が86%に上がったのです・・「大多数のイギリス国民は税金を支払っています」(p18)


・先行刺激(プライミング)効果・・・いつ予防接種に行くか、どのルートを通って医療センターに行くかを決めるよう求めました。たったこれだけの先行刺激により、予防接種の受診率はなんと28%と9倍に増えたのです(p269)


・未来ロックイン効果・・・それぞれの政策に対して、「翌月実施する」場合と「4年後に実施する」場合に分けて、「支持する」「支持しない」を・・評価してもらいました・・4年後の実施の場合は大幅なプラスとなりました(p305)


・社会的証明の原理・・・
 1省エネをしてお金を節約しよう
 2省エネをして環境を保護しよう
 3省エネをして未来の世代のためになろう
 4ご近所と一緒に省エネしよう・・・
 実はこの4を配ったグループだけが、大幅に電力を節約したのです(p287)


・「弱み」が「セールスポイント」になる・・ハインツのケチャップには、ガラス製だった瓶からなかなかケチャップが出てこないという弱点があった・・・「ハインツのケチャップはおいしさが濃いので、ビンからなかなか出てきません」(p89)


▼引用は、この本からです。

川上 徹也、SBクリエイティブ


【私の評価】★★★★☆(80点)


目次

Chapter1 一瞬でYESを引き出す文章術
Chapter2 思い通りの選択をさせる文章術
Chapter3 売れないものを瞬時に売る文章術
Chapter4 印象を大きく変える文章術



文章術関連書籍

川上徹也(かわかみ てつや)・・・コピーライター。湘南ストーリーブランディング研究所代表。大学時代「比較行動学」を専攻するかたわら「社会心理学」にも関心を寄せ、「人の心を動かす」という観点から広告業界に興味を持つ。大阪大学人間科学部卒業後、大手広告代理店を経て独立。東京コピーライターズクラブ新人賞、フジサンケイグループ広告大賞制作者賞、広告電通賞、ACC賞など受賞歴多数


文章術関連書籍

「心をつかむ文章術 無敵の法則」奥野 宣之
「伝わる! バズる! 稼ぐ! 文章術」尾藤克之
「朝日新聞記者がMITのMBAで仕上げた 戦略的ビジネス文章術」野上英文
「リンボウ先生の文章術教室」林 望
「文章は型が9割」高橋フミアキ
「「残念な文章」が明らかによくなる本: 「なぜ」「どうして」をプラスするだけ!」前田安正
「臆病ネコの文章教室」川上 徹也


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