「朝日新聞記者がMITのMBAで仕上げた 戦略的ビジネス文章術」野上英文
2022/08/02公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(86点)
要約と感想レビュー
元朝日新聞記者ということで大丈夫かな、と思いながら読み始めました。読んでみると、News Picksトピックスで発信しているだけあって、ネット時代に読んでもらうための書き方にフォーカスしているのが素晴らしい。まず、ネット時代は読んでもらうために「見出し」を考えることからはじめます。そして伝えたいことを、「リード文」として二段論法の形で説明するのです。
二段論法とは、「結論+結論」とか「結論+疑問」という形の文章です。例えば、結論1:履歴書がAIでふるいにかけられている+結論2:高評価の鍵は簡潔な文章力だ、という構成です。「結論+疑問」の形であれば、結論:履歴書がAIでふるいにかけられている+疑問:高評価となる書き方の処方箋は?、という構成となります。
・仮見出しを考える・・・リード文を二段論法で考える・・・本文を書く・・仮見出しとリード文を書き直す(p173)
なぜ著者が「リード文」で二段論法を提案するかといえば、パッと見て読み手が把握できるものだからです。「結論+結論」の形であれば、要点を把握してもらって読むかどうか判断してもらう。「結論+疑問」の形であれば、話のオチに興味を持ってもらい最後まで読んでもらえる可能性が高まるのです。
朝日新聞風に記事の内容に角度をつけるのは問題だと思いますが、記事の見せ方を工夫をするのは許容範囲ではないでしょうか。読者も短時間に要点を知りたいわけで、読者に寄り添った記事の書き方だと思います。著者も何らかの狙いを設定したうえで、書き始めるという。
・「結論+結論」の形を「ビジネス基本形」とした・・「結論+疑問」の形を「エンタメ応用型」と呼ぶ(p133)
ネットニュースでは、「見出し」によってページビューが大きく変わります。記事を読んでもらうために「見出し」に工夫せざるをえないのでしょう。拳銃は殺人に使うから悪いのであって、同じように文章術が悪いのではなく、文章術を印象操作や世論誘導に使うのが悪いのです。こうした本で文章術を学んでいきたいものです。
最後に文章力を高めるためには、文章の構成を意識しながら、どんどん書いていくしかないようです。締切を作って、どんどんアウトプットしていきましょう。野上さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・新聞記者が素早く書けるのは、1分1秒を争う締め切りに日々、追われながら仕事をした経験の数が多いからだ(p257)
・書くことが止まってしまうのは・・・書こうとする内容への理解やインプットが足りていない(p261)
・足りないこど入れてほしい内容があれば、「|||||」と記して記者に「埋めておいて」と返している(p263)
・PS(追伸)や付言は、時折スパイスを効かせるものである(p285)
【私の評価】★★★★☆(86点)
目次
はじめに うまく書けないのはあなたのせいではない
序章 書く力がないと損をする
第1部 仮見出し・二段論法
第2章 「リード文」 5秒で引き込む二段論法
第2部 文章マネジメント術
第3章 「戦略」 結果を出す3A分析
第4章 「初稿」 すらすら書けるアルペン式
第5章 「編集」 ざっくり、きっちり スッと読める書き直し
第6章 「校正・校閲」 信頼されるダブルチェック
著者経歴
野上英文(のがみ ひでふみ)・・・朝日新間記者。MIT(マサチューセッツ工科大学)経営大学院MBA(経営学修士)。News Picksトピックスオーナー。1980年、兵庫県生まれ。神戸商科大学を卒業後、朝日新聞社で大阪社会部、経済部、国際報道部、ハーバード大学国際問題研究所研究員などを経てジャカルタ支局長をつとめる。そのかたわら文章講座を主宰。40歳を機にMITに私費留学してMBAを取得。大阪地検特捜部による証拠改ざん事件の調査報道で新聞協会賞受賞。国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)によるグローバルな税逃れを報じた「パラダイス文書」取材班の日本代表、ジャカルタ外国特派員協会(JFCC)役員をつとめた。
文章術関連書籍
「心をつかむ文章術 無敵の法則」奥野 宣之
「伝わる! バズる! 稼ぐ! 文章術」尾藤克之
「朝日新聞記者がMITのMBAで仕上げた 戦略的ビジネス文章術」野上英文
「リンボウ先生の文章術教室」林 望
「文章は型が9割」高橋フミアキ
「「残念な文章」が明らかによくなる本: 「なぜ」「どうして」をプラスするだけ!」前田安正
「臆病ネコの文章教室」川上 徹也
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