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「星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則」中沢 康彦

本のソムリエ 2022/02/10メルマガ登録
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「星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則」中沢 康彦


【私の評価】★★★★★(93点)


要約と感想レビュー

 星野リゾートの経営は「教科書通り」であるということを、具体例を示しながら教えてくれる一冊です。オーディオブックで聴いていましたが、あまりに良い本なので、紙の本も買ってしまいました。


 例えば、島根県の出雲大社の近くの玉造温泉「華仙亭有楽(ゆうらく)」は、2007年から星野リゾートが運営しています。それまでの「華仙亭有楽」は玉造温泉にある普通の温泉旅館であり、だんだんと団体客が減り経営が悪化したことで、星野リゾートが運営を引き継ぐことになったのです。星野社長は玉造温泉に個人向け高級旅館がないことに着目し、団体向け建物は茶室に建て替え、全客室に露天風呂を作りました。客室は半分になりましたが、「華仙亭有楽」は収益性の高い高級旅館と生まれ変わったのです。


 これはポーターの競争戦略でいうところの「差別化」と「集中」でしょう。


・ポーターの理論・・・コストリーダーシップ・・差別化・・・集中(p34)


 また、星野リゾートの地ビール事業「よなよなエール」は、1997年に発売しブームに乗って大ヒットしました。しかし、ブームが去ると他の地ビールと同じように売り上げが落ち込みました。


 他の地ビールと同じように「ライト」「黒」など味を増やして新しい需要を作り出すことが、星野リゾート内で提案されました。しかし、星野社長はそれを拒否。星野社長の頭の中にあったのは、経営本「売れるもマーケ当たるもマーケ マーケッティング22の法則」に製品ライン拡張は、長期的に売上を下げると書いてあったことだったのです。


 つまり、いろいろな味のビールを出すことは、ブランドとしてマイナスとなるのです。ブランドを高めるためには、「よなよなエールはこの味だ」というメッセージを伝え続けることなのです。その後の「よなよなエール」は1つの味を守り続け、ファンを除々に増やし、現在も好業績を続けています。


・製品ラインの拡張は常に売り上げを増大させる・・・長期的な効果は無残」で、結果として売り上げが大きく落ち込む(p78)


 また、好調の星野リゾートですが、初期には社員が大量に辞めている時期があったようです。星野社長がトップダウンで改革を進めたため社員の心が離れてしまっていたのです。その後、星野社長は社員に経営情報を公開して、社員自らがリゾートのコンセプトを考える仕組みなどを導入して社員のやる気を引き出すようにしています。これも教科書通りなのです。


 経営とは芸術のようなものと言われますが、経営書をこれだけ活用できるのか!とびっくりしました。これ以外にも多くの事例があり、星野リゾートではあらゆる分野で経営書を参考書とした経営をしていると感じられました。充実した一冊でした。★5とします。中沢さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・「教科書どおり」なら苦しいときも絶えられる(p24)


・「アルツ磐梯」・・・カレーライスの人気の秘密は「おいしさ保証」である(p89)


・社員が辞める理由の大半は「組織に対する不満」・・・トップダウンで改革を進めてきたが、社員は命じられて動くことに疲れていた(p187)


・星野リゾートは販売ルート別の宿泊予約を一括管理するシステムを導入した(p65)


▼引用は、この本からです
「星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則」中沢 康彦
中沢 康彦、日経BP


【私の評価】★★★★★(93点)


目次

第1部 星野佳路社長が語る教科書の生かし方
 定石を知り、判断ミスのリスクを最小にする
第2部 教科書通りの戦略
 難しそうに見えて、実は効果的である
第3部 教科書通りのマーケティング
 「やるべきこと」をやり切れば、すべてが変わる
第4部 教科書通りのリーダーシップ
 すぐに成果は出ないが、必ず成果は出る
第5部 教科書通りに人を鍛える
 「未経験者歓迎」で成長できる理由



著者紹介

 中沢康彦(なかざわ やすひこ)・・・1966年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業。新聞社記者を経て日経BP社に入社。「日経ビジネス」記者などを経て、現在、「日経トップリーダー」副編集長


紹介されている本

1.『競争の戦略』(マイケル・E・ポーター)
2.『コトラーのマーケティング・マネジメント 基本編』(フィリップ・コトラー)
3.『The Myth of Excellence』(Fred Crawford, Ryan Mathews)
4.『売れるもマーケ 当たるもマーケ マーケティング22の法則』(アル・ライズ、ジャック・トラウト)
5.『ブランドポートフォリオ戦略』(デービッド・A・アーカー)
6.『競争優位のブランド戦略』(恩蔵直人)
7.『マーケティング戦略』(恩蔵直人、和田充夫、三浦俊彦)
8.『戦略サファリ』(ヘンリー・ミンツバーグ、ジョセフ・ランペル、ブルース・アルストランド)
9.『ストラテジック・マインド』(大前研一)
10.『いかに「サービス」を収益化するか』(DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部編)
11.『真実の瞬間』(ヤン・カールソン)
12.『ONE to ONE マーケティング 』(ドン・ペパーズ、マーサ・ロジャーズ)
13.『ブランド・エクイティ戦略』(デービッド・A・アーカー)
14.『ニューポジショニングの法則』(ジャック・トラウト )
15.『ブランディング22の法則』(アル・ライズ、ローラ・ライズ)
16.『経験価値マーケティング』(バーンド・H・シュミット)
17.『サービス・リーダーシップとは何か』(ベッツィ・サンダース)
18.『顧客ロイヤルティの時代』(内田和成、嶋口充輝)
19.『グロービスMBAマーケティング』(グロービス経営大学院 編)
20.『ビジョナリー・カンパニー』(ジェームズ・C・コリンズ、ジェリー・I・ポラス)
21.『1分間顧客サービス』(ケン・ブランチャード)
22.『1分間エンパワーメント』(ケン・ブランチャード、J・P・カルロス、A・ランドルフ)
23.『後世への最大遺物 デンマルク国の話』(内村鑑三)
24.『代表的日本人』(内村鑑三)
25.『やまぼうし』(星野嘉助)
26.『エクセレント・カンパニー』(トム・ピーターズ、ロバート・ウォーターマン)
27.『口語訳「古事記」完全版』(三浦佑之)
28.『Parsonnel』(Robert L. Mathis, John H. Jackson)
29.『イノベーターの条件』(ピーター・F・ドラッカー)
30.『柔らかい心で生きる』(矢代静一)


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