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「図解 渋沢栄一と「論語と算盤」」齋藤孝

2020/07/30公開 更新
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【私の評価】★★★★☆(82点)


要約と感想レビュー

 2024年から1万円札の絵柄が、福沢諭吉から渋沢栄一に変わるということで手にした一冊です。100ドル札は建国時に活躍したベンジャミンフランクリンですから、渋沢栄一も「日本資本主義の父」と相応の評価だと思います。渋沢栄一は大蔵省で租税改正、度量衡の改正、貨幣改革、藩札の処理、鉄道施設、全国測量などを手掛けています。メートル法を導入したのは渋沢栄一なのか・・・と考えると感慨深いものです。


 渋沢栄一に大きな影響を与えたのが、パリ万博(1869年)に江戸幕府の使節団に随行したことでした。西欧で資本主義社会の仕組みを見て、学び、日本に足りないものを知ることができたのです。渋沢栄一は大蔵省で働いた後、民間に下野してから第一国立銀行、製紙会社、東京ガス、東京電灯、日本鉄道、東京海上保険、大阪紡績、共同運輸会社など多くの会社を作っています。恐るべき実績です。


 大蔵省では方針が合わずに辞めているのですが、民間に下っても自分の考えを、実行し、現在の日本を創ったといっても過言ではないでしょう。目の前に成功した西欧諸国が存在し、いかに西欧に追いつくのか、その一点に向けて行動していたようです。


・(栄一は)大蔵省を辞めます。1873(明治6)年、33歳のときでした。その理由としては、大蔵卿(大蔵大臣)の大久保利通への不信がありました・・・あとに大蔵卿に就いた大隈重信とは財政政策をめぐって対立しました。しかしこうした理由以上に、民間人となって成し遂げたいことがありました(p54)


 渋沢栄一が目指した「すべての人がお金を出し合って会社をつくり、会社の利益をすべての人で分配する」社会は実現したようです。なぜなら資本主義として、誰もが会社の株式を購入できる時代だからです。「大企業だけが儲けている!」と思うなら、大企業の株を買えば、大企業の所有者となれる時代なのです。


 そして、渋沢栄一は逆境について、「逆境というのは必ずあるものだから、まずは、それが人為的な逆境なのか、自然的な逆境なのかを区別しよう」と言い、自然的な逆境の場合は、その状況を受け入れて勉強しながらチャンスを待ち、人為的な逆境の場合は、反省して悪い点を改めるべきだと言っています。また、渋沢栄一は<渋沢の分を守る>というように、自分の実力に見合った行動を推奨しており、徹底してリアリストであることがわかります。


 図解で入門編としてわかりやすい一冊でした。渋沢栄一はもう少し調べてきたいと思いました。こうご期待。齋藤さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・ベルギー国王レオポルド1世との出会い・・・「鉄は国富のバロメーターです。ぜひベルギーの鉄を買ってください」武士が金のことを語るのは卑しいという考えがあったため、国王自らが商談に加わるのは驚きだった(p45)


・実績があって志のある人をぽんと引き抜いて大蔵省の仕事をさせ、やがて、その人間を大蔵大臣にしようではないかという流れすらできるのです(栄一を大蔵大臣にという構想がありました)。有能な人物であれば躊躇なく登用(p50)


・渋沢栄一は「人の行いの善し悪しを判断するには、志と所作をよく見なくてはいけない」と言います。さらに仕事については、「いかに所作が巧みでも、誠意のない人とは一緒に仕事ができない」と言っています(p106)


▼引用は、この本からです

齋藤孝、フォレスト出版


【私の評価】★★★★☆(82点)


目次

まえがき なぜ今、「渋沢栄一」なのか?
Chapter 1 『論語と算盤』がもっと面白くなる渋沢栄一の人生
Chapter 2 今だからこそ胸に刻みたい『論語と算盤』の教え
Chapter 3 渋沢栄一の関連人物から読む『論語と算盤』



著者経歴

 齋藤 孝(さいとう たかし)・・・1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。著書に、『三色ボールペンで読む日本語』『呼吸入門』、『語彙力こそが教養である』『上機嫌の作法』など多数


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