「新版 敬天愛人 ゼロからの挑戦」稲盛 和夫

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新版 敬天愛人 ゼロからの挑戦 (PHPビジネス新書)

【私の評価】★★★★☆(85点)


■JALを再生させた京セラの稲盛 和夫さんの
 これまでの経営者人生の総決算です。


 京セラは創業1959年から赤字なし、
 常に経常利益率10%程度を
 確保してきました。


 どのような経営環境においても
 安定して経常利益を
 出し続けていることは驚異的。


 社内には小さな事業体が作られ、
 個別に付加価値を管理するアメーバ経営で
 収支管理を徹底しています。


 同時に、常に新しい事業展開を模索し、
 全体で負えるリスクの範囲内で
 新規事業に挑戦してきました。


・京セラを1959年に創業してから・・・
 初年度の売り上げは約2600万円でしかなかったが、
 2012年3月期には1兆2000臆円に迫る。
 その間、通期で一度の赤字も計上することが
 なかっただけでなく、利益率は・・・
 10%ほどを確保している(p3)


■仕事の結果は、「考え方」×「熱意」×「能力」
 と言っているように、誰にも負けない
 努力を続けることが、成功の秘訣であると
 しています。


 成功に安易な近道はないということです。


 ただ、経営者は成功していく中で、
 どうしても傲慢になってしまう。


 だからこそ、「人として何が正しいのか」
 ということを常に考え、自分にとっても
 周囲の人にとっても正しい判断を
 していかなくてはならないとしています。


 時に厳しく、時に優しく見えるのは、
 そうした稲盛 和夫さんの私心を超えた
 考え方にあるのでしょう。


・事業を成功に導くことができる人というのは、
 やり手で闘魂もあり、競合会社など潰すくらいの
 気力を持っている。しかし、そういう激しい
 気質の持ち主だけに、得てして傲岸不遜に陥り、
 傍若無人に走り、それが失敗の原因となって
 しまうのである・・・そういう激しい経営者で
 あればこそ、「人間として何が正しいのか」
 ということを常に自分に問い、正しいことを
 正しいままに貫いていくことで、その成功を
 長く持続するようにしなければならない(p192)


■企業の姿とは、経営者の人格の投影
 されたものであるとしています。


 大きい企業であれ、小さい企業であれ、
 すべてが経営者の責任であるという
 重い信念を感じました。


 稲盛さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・西枝(一江)氏は私に
 「お金に使われてはいけない。
 また、従業員がオーナーでなければいけない」
 ということを諄々と説かれた。
 そして、資金も持たず株式の意味も知らない
 私に、技術出資という形で設立当初から
 株を持たせてくださり、
 いわゆるオーナー経営者としての
 道を歩ませてくださった(p32)


・私の経験では日本には強固な市場秩序が
 でき上がっていたため、海外に対してだけでなく、
 日本の新規参入企業に対しても閉鎖的であり、
 系列企業からしか買わないという体質があった・・
 私は英語も話せず、貿易の知識もないのに、
 創業間もない1962年に米国市場の開拓に
 乗り出していった(p51)


・私は「開発者は、手の切れるような
 製品をつくらなければならない・・
 まずは、採算を一切度外視して、
 最高の品質の製品を一個でも
 いいからつくり上げる。その後、
 コストを考慮に入れ、どのように
 量産するかということを検討していく。
 このような手法をとるべきだと
 思うのである(p66)


・信用は商売の基本であり、お客様に信用
 されるだけの実験を積み上げていくことが
 ビジネスではまず求められる。
 だが、信用の上に「徳」が
 求められるのではないだろうか(p69)


・新しい事業にチャレンジし続けた・・
 守りに入ったときには、企業は
 衰退の芽を吹き始めているという・・
 社員も、果敢な事業展開を行なう
 企業であってこそ鼓舞され、
 努力するはずである(p72)


・リスクに耐えうるだけの優れた財務内容を
 備えることを挑戦の前提としてきた・・・
 1984年に通信市場の自由化に向けて
 第二電電(DDI)を創業したときも、
 京セラは1000臆円以上の内部留保を持っており、
 仮に通信事業で失敗したとしても、
 屋台骨まで揺らぐことはなかった(p73)


・「とりあえずやってみよう」・・
 という程度では、
 絶対に新規事業の成功はあり得ない。
 どんな困難に出合っても、決して諦めない、
 必ず実現させるという強烈な思いがなければ、
 新規事業の成功も、企業の多角化も、
 およそ不可能なのである(p76)


・苦しんで苦しんで切羽詰まった状況で、
 今まで見過ごしていた現象を見つけ、
 一挙に問題解決が進む場合がある。
 神のささやく啓示とも呼ぶべきこの瞬間こそ、
 真の創造に至る道であろう(p81)


・アメーバ経営・・・中小企業の経営者は、
 大企業では利益が出ないような仕事でも
 何とか儲かるように工夫し、たくましく生きている。
 この中小企業と同じような根強い組織体を
 企業内につくり、そして中小企業の経営者と
 同じような経営感覚を持ったリーダーを
 社内に育成していく(p90)


・会社に対して高い貢献をしたとしても、
 ボーナスや報奨金を与えるといったことはない。
 金品で人の心を操ることができたとしても、
 一時的なものでしかない(p95)


・事業を行なう以上、必ず利益は上げなければ
 ならないが、こうした利益はあくまで結果であって、
 事業を行なうプロセスには、事業を通じて
 「世のため人のため」という大義に尽くす
 姿勢がなければならない(p138)


・一人でも従業員を雇用し、養わなければ
 ならない企業経営者に課された責任は重い。
 そんな重責の中で真剣に生きようとしている
 経営者にこそ、「人生をいかに生きるべきか」
 ということを教えてあげなければならない、
 と私は考えている。なぜなら、
 それが経営に直結するからである(p182)


・激しい闘志が経営には必要不可欠である。
 そんな闘魂を持っていない人が、
 経営者になることは、当人にとって
 かわいそうなことであり、従業員をはじめ、
 その企業を取り巻く関係者にとっては
 不幸なことである。「人生を面白おかしく、
 楽に生きていきたい」というような人は、
 経営者になってはいけない(p190)


・JALにおいても、航空運輸事業の収益源である、
 各路線の採算がほぼリアルタイムで分かるような
 管理会計システムの運用を始めた。具体的には、
 すべての路便別の収支が、翌朝には分かるような
 仕組みをつくった。同時に路線別の経営責任者を
 明確に定めた(p212)


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■目次

第1部 「フィロソフィ」をベースにする
第2部 「フィロソフィ」の根底にあるもの1
第3部 「フィロソフィ」の根底にあるもの2



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