「サラリーマン・リカバリー―会社から自分の人生を取り戻せ」大前 研一
2018/08/10公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(82点)
要約と感想レビュー
人生を設計する
18年前から大前さんは、30代は専門家を目指せ、40代はゼネラリストを目指せ、50代は引退後の準備をせよ、と言っていました。つまり、自分の人生を計画し、実行し、その結果を受け止め、また計画せよ、ということです。
そもそも会社は「道場」であり、すべての厳しい仕事は自分に与えられた貴重な試練であり、上司につらく当たられても「これは訓練なんだ。鍛えてもらってありがたい」と思っていたというのです。
「マッキンゼー」では、過去のクライアントに提案した解決手法がファイルされているという。大前さんは、そのファイルを検索して、使えそうなら担当者に電話をかけてその時の経験を聞いて学んでいたという。
50代は引退後の「定職」にしてもいいと思うことについて腕に磨きをかけておくべきだと思う(p100)
インターネットの衝撃
もう一つすごいのは、18年前にインターネットの衝撃を的確に理解していたということでしょう。
これからはネットの時代になるので、仕事の仕組みが大きく変わっていく。パソコンさえあれば、どこでも仕事をできる時代になる。だから若い人は会社の先輩の言う通りに仕事をしてはまずい。新しい仕事を提案していかなければならないというのです。
大前さんには、ネットの未来が見えていたのだと思います。サラリーマンも時代に合ったプロにならないと、何かあったときに困ったことになる。プロのサラリーマンであれば、会社が破綻しても、リストラされても今よりも高給の仕事を見つけることができるなずなのです。
20代の人は会社の言われる通りにやってはいけない。その理由の一つは、会社は時代遅れの仕事のやり方を教えるからだ(p76)
努力は裏切らない
そして新しいことは、何歳であろうと五年間必死に努力すれば、身につくというのが大前流です。五年もかかって身につかなければ、それは毎日努力しないなど、努力のやり方の問題があるわけです。石の上にも五年なのでしょう。
大前さんは一年に一つ新しいテーマを決め、毎年それを勉強してチャレンジしていたという。そして、そのテーマで必ず本を書くのです。挑戦の大前さんだと思いました。大前さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・派閥に入れは出世も早いが、落ちるのも早い(p81)
・日本で育った人はある問題の結論を言うと、すぐにそれを鵜呑みにしてそれまでのことを整理しない人が多い・・・「なぜ答えはこれなのか、自分はどうしなくてはいけないのか」と突きつめて考えない癖があるのだ(p7)
・上手なコンサルタントは、集めた事実を全部見せて、トップマネジメント自身に「原因はこれじゃないのか」と言わせる術に長けている(p184)
・妻が「たまには私とディナーを食べてくれない?」と言った。そのとき、私はとても忙しかったので、「秘書にアポイントメントを取ってくれ」と答えてしまった・・妻は烈火のごとく怒りだした・・その件以来、私は年間の休暇スケジュールを立てることにした(p170)
・高校を卒業して大学が始まるまでの春休みには関西を旅し、『古事記』『日本書記』に沿って御陵(天皇・皇后・皇太子・太皇太后の墓)巡りもした・・・とにかく興味を持ったことはとことん追求する性格・・(p65)
・採用した500人のうち、その後、マッキンゼー化できて一人前の経営コンサルタントに育った人間は、基本的に30歳プラスマイナス二歳、つまり28歳~32歳のときに採用した中にしかいないのだ(p74)
・私も30代のときは、朝はパワー・ブレックファースト、昼はパワー・ランチ、夜はパワー・ディナーと無理してやっていた時代があった・・・『マッキンゼー』日本支社を立ち上げたばかりで、何が何でも仕事を取ってこなければならないという事情があったからだ(p167)
・介護保険制度が曲者だ。なぜなら、日本の場合は貯めたものを遣う福祉ではなく、若い人たちがそのときの老人を支えるというやり方だからである・・・福祉先進国と言われる北欧やイギリスを見ると、福祉を充実した国は産業の活力がなくなってしまう。お金を稼げる有能な人や優良企業が海外に流出してしまうからだ(p45)
・日本では若者よりも老人のほうが金持ちなのだから、さらに福祉を充実するなら老人の既得権を外していくべきだと思う(p46)
▼引用は下記の書籍からです。
小学館
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【私の評価】★★★★☆(82点)
目次
プロローグ 「見えない太陽」時代のリカバリー
序章 自分の人生を生きろ
第1章 全員リカバリーが必要だ
第2章 尖ったビジネスマンになろう
第3章 "リカバリー三種の神器"を磨け、使え!
第4章 リカバリーの大前流SAP作戦
第5章 問題解決には何が必要なのか?
もっと大前研一!
著者経歴
大前 研一(おおまえ けんいち)・・・1943年生まれ。経営コンサルタント。マサチューセッツ工科大学博士。日立製作所、マッキンゼー日本支社長を経て、1992年に「平成維新の会」を設立。1994年マッキンゼーを退職し、「一新塾」「アタッカーズ・ビジネス・スクール」を設立。現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授、スタンフォード大学経営大学院客員教授等を務める。
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