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「なぜこの国ではおかしな議論がまかり通るのか メディアのウソに騙されるな、これが日本の真の実力だ」高橋 洋一

本のソムリエ 2018/04/06メルマガ登録
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なぜこの国ではおかしな議論がまかり通るのか メディアのウソに騙されるな、これが日本の真の実力だ


【私の評価】★★★★☆(85点)


要約と感想レビュー

 元大蔵官僚による「日本のフェイクニュースはこうして作られる!」という解説です。


 まず、森友学園の問題は、地下ゴミ問題で籠池氏との値引き交渉に近畿財務局が手抜きした結果であると断言しています。そもそも森友学園の問題では、ほかの政治家も交渉に関わっています。しかしなぜか、マスコミは昭恵首相夫人だけを攻撃するだけです。昭恵首相夫人が財務省に照会したのは、疑惑といわれる「特例の処置」の半年後なのにです。


 では、なぜすべてのマスコミは、そうした森友学園の表層的な報道だけで、総括的な深層を報道しないのでしょうか。


・昭恵夫人付き官僚が定期借地賃料の特例などについて財務省に問い合わせたファックスが槍玉に挙げられた。しかし、これも調べれば的外れであることはすぐわかる・・「異例の処置」と関与を疑われた定期借地契約の締結は、およそ半年前の5月29日のことだ(p18)


 著者はこうしたフェイクニュースは、マスコミの勉強不足から生じると断言しています。マスコミは記者クラブで教えてもらった情報を新聞やテレビで報道するだけなのです。なぜかといえば、著者も財務官僚時代、記者クラブの人を振り付けしたからマスコミのレベルの低さを著者はよく知っているのです。マスコミは、事実を調べ、真相を理解する能力もなければ、そうした真相を報道する意思もない。マスコミは、官僚にコントロールされているのです。


・「安倍晋三記念小学校」と報道された趣意書は財務省近畿財務局に提出されていた。不適切な報道があった段階で、財務省はそれを知っていたはずだが、なぜ半年も放置したのか(p23)


 衝撃的な内容でした。私はマスコミはすべて知っていて、あえてこうした報道をしているのだと思っていたからです。真実は別のところにあると解説する本が数多く出版されています。それを後追いしてみればよいのに、マスコミはそれもしないのです。


 別の見方をすれば、真実を知っていても報道できないのでしょう。単に自分で考えることができないだけのマスコミ、真実を知っていても、報道する勇気がないマスコミに存在意義はないように感じます。高橋さん、良い本をありがとうございました。



この本で私が共感した名言

・森友学園が土地取得に名乗りを上げたのは、2013年9月のことだ。そこから借地契約まで2年近くも賃料の折衝が行われている。籠池氏は参議院議員の鴻池祥肇(よしだた)氏のもとに相談に訪れており、近畿財務局と籠池氏とのやりとりを鴻池事務所の関係者がメモしている。トラブルの原因とは、地中に埋まっていたゴミだ(p19)


・かつて役人をしていたとき、筆者はメディア対応も担当した・・ほとんどの記者は自力では記事にできない。だから、その数字にどんな意味があるのか、説明を記した書面を作成して記者たちに配った。すると、書面の文章がほとんどそのまま記事になった(p73)


・役人が学校の先生と違うところは、役所にとって都合のよいものしか教えないということだ・・記者は役人の振り付けがないと記事が書けなくなってしまう(p75)


・子宮頸がんワクチンをめぐっては、日本では「接種後に原因不明の痛みを訴える人が相次いでいる」という理由で、2013年に接種の推奨が中止された。この処置が世界的には特殊な例だという認識のない人は、「誤情報キャンペーン」に丸め込まれているといってよい・・ワクチン接種をやめれば副作用もないが、それでは救える患者も救えない。子宮頸がんでは毎年約1万人が患者になり、約3000人が亡くなっている(p72)


・知り合いのメディア関係者数人・・彼らによれば、これまで「ワクチン不要論」を言い過ぎたため、いまさら村上氏を応援できないということらしい。誤情報の影響によって(子宮頸がん)ワクチン不要の根拠を「薬害」のように認識する日本人が増えてしまった責任については、どう考えているのだろうか(p71)


・ファクトチェック・・2017年11月には、新聞各紙が<国際通貨基金(IMF)は21日発表した日本の労働環境に関する提言で、後を絶たない「KAROSHI(過労死)」を問題視し、残業抑制を求めた>と報道した・・原文を探してみると、公表されたのはIMFのブログだった。しかもIMF職員の個人的な考えで、必ずしもIMF組織の見解を示すものではないと記されている・・原文を読むと、「あとを絶たない過労死を問題視している」というよりも、「女性の活用が重要だ」という内容だった(p127)


・テレビ放送事業が既得権化している理由は、事業者の新規参入が実質的に不可能になっていることだ・・オークションにかければ、現在のテレビ局が支払うべき電波利用料は数千億円を下らないだろう(p87)


・NHKの財務諸表を見ると、職員一人当たりの平均給与は1098万円である・・朝日放送=1498万円、東京放送HD=1491万円、フジ・メディア・ホールディングス=1430万円、日本テレビホールディングス=1427万円、テレビ朝日ホールディングス=1335万円、テレビ東京ホールディングス=1324万円(p92)


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▼引用は下記の書籍からです。
なぜこの国ではおかしな議論がまかり通るのか メディアのウソに騙されるな、これが日本の真の実力だ
高橋 洋一
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【私の評価】★★★★☆(85点)


目次

第1章 経済政策から内政・外交まで......はびこる「おかしな議論」
第2章 ウソのニュースが流れるのには「構造的な理由」があった
第3章 未来を正確に予測するための数字と論理の使い方
第4章 「べきだ論」を論破し、日本の「真の実力」を教えよう
第5章 そして2020年、日本と世界の姿はこう変わる!



著者紹介

  高橋洋一(たかはし よういち)・・・1955年、東京都生まれ。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年に大蔵省(現・財務省)入省。大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、内閣参事官(首相官邸)等を歴任。小泉内閣・第一次安倍内閣ではブレーンとして活躍。(株)政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授。『さらば財務省!』(講談社)で第17回山本七平賞受賞


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