「「怒らない」選択法、「怒る」技術」苫米地 英人
2017/10/30公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(86点)
要約と感想レビュー
言語学者、心理学者であり、ビジネスマン、作家でもある苫米地さんの怒り方です。苫米地さんの怒る基準は、相手の過失により不利益があり、かつ予想外だったときです。なぜ、予想外で怒っていいのかといえば、怒りは生理反応であり、それを出そうか抑えるか迷っているとストレスが溜るからです。
なにか問題が起きた時、どちらか一方だけが、100%悪いなどということなどありません。仮に相手が暴言を繰り返し、あなたはプライドを傷つけられ、世間的な評価すら下ってしまうのは、あまりにも不当で不公平でしょう。あなたも怒っていいのです。
ところが、世の中には怒ることを怖れる人がいます。怒れない人です。怒れない人について著者の見方は、実際に怒ったことがありますか?ということです。実は本気で怒ったことがないので、怒ったことによってなにが現実的にに起こるのか、よく知らないでしょう、ということです。知らないのに恐怖するというのは、自分が作った妄想におびえているだけなのです。
著者は、やられたらやり返していいと主張します。失礼なことをされたら怒っていいのです。「やり返したら反撃されて損をする」のではなく、やり返さなければもっと損するのです。なぜなら、やり返して来ないということは、受け入れたということであり、相手はその後何度やってくるのです。どっちが得で損かと考えれば、やり返したほうが得なのです。
・ここは怒る場面だ。だから、しっかり怒る。ここは我慢するべきだ。だから、しっかり我慢する。あるいは謝るといった、はっきりした意思を持って行動することがなりより重要なのです(p26)
ただ、ビジネスでの苫米地さんの怒り方は、冷静です。まず、怒る基準が高い。例えば、上司のミスを自分のせいにされても、怒りません。上司が卑怯な人間と知っていれば、予想どおりなので怒る必要はないのです。
そして、丁寧な言葉で怒ります。怒るというより、納得していないことを表明する。失礼な言動をされたときには、「失礼な言い方を使うんですね」と相手の思考を言語化するのです。また、損失や問題が発生した合は、怒るのではなく取引先に損失補てんを要求するだけでいいのです。
もし相手が「常識だ」「当たり前だ」「普通だ」と主張してきたとしても、「納得できない」感覚を口にしておくことが大切です。「なぜでしょう。どこか納得しきれませんが」などと冷静に納得していないことを表明することが大事なのです。
・正しく怒るためのその1「丁寧な言葉を使う」・・侮蔑の言葉をぶつけられたら「ずいぶん失礼な言葉を選択するんですね、あなたは」や「どういうつもりですか。どんな意図があるんですか?」といった感じです(p59)
苫米地さんは、一流ホテルで乗車したタクシー運転手があまりに無礼な態度、言葉遣いだったので、ホテルに電話して出入り禁止にしました。それはそのような失礼なタクシーが出入りしているようでは、自分のVIP客をそのホテルに宿泊させられないからです。これこそ、目的を意識して怒るということなのでしょう。苫米地さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・思考はフリーズしていい・・・猛烈に最後の瞬間まで思考し続けているからこそ、フリーズしているように見えるのです(p105)
・あなたの選択はすべて正しいのです。過去の選択など悩む必要などなく、大切なのは、次の選択。その時はもっと自分が納得できる現実を獲得できるように自分に働きかけていくことです(p124)
・人がポジティブになるためには、自らの目的が定まっていることが大切になります。ゴール。これを持つことで、積極的に生きることもできますし、怒りをコントロールするのも容易になるのです(p126)
▼引用は下記の書籍からです。
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【私の評価】★★★★☆(86点)
目次
第1章 なぜあなたは正しく怒れないのか?
第2章 正しく怒る技術
第3章 怒りの感情をコントロールするメカニズム
第4章 怒りはアンフェアな世界で戦うための武器
著者経歴
苫米地 英人(とまべち ひでと)・・・1959年生まれ。三菱地所を経て、イェール大学大学院に留学。人工知能の父といわれるロジャー・シャンクに学ぶ。同認知科学研究所、同人口知能研究所を経て、カーネギーメロン大学大学院で音声通訳システムを開発。徳島大学助教授、ジャストシステム基礎研究所所長などを歴任。ドクター苫米地ワークス代表。コグニティブリサーチラボCEO。
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