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「日本は本当に戦争する国になるのか?」池上 彰

2016/05/02公開 更新
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日本は本当に戦争する国になるのか? (SB新書)


【私の評価】★★☆☆☆(68点)


要約と感想レビュー

 去年の安保関連法案について解説した一冊です。集団自衛権を可能とする法案であり、国家の命運を決するほどの法案だと思います。なぜ、今なのか。なぜ、憲法を変えてから、安保を変えないのか。池上さんの仮説はアメリカとの約束です。


 仮にオーストラリア軍なりが攻撃されたときに、日本の自衛隊が何もしなかったら、日豪米の同盟関係が崩壊してしまうからです。つまり、日本が有事になったとしても、助けに来てくれなくなるということなのです。


・米軍等行動円滑化法というのがあります・・今回、名称に「等」が入りました。支援するのがアメリカ軍だけではなくなったということです・・オーストラリア軍にも支援できるようになりました(p92)


 これらの法案には、アメリカの意向が反映されているということなのでしょう。その意向は、尖閣諸島や南シナ海に対する日本の意向とも合致しているのです。だから、日本もアメリカも急速に対応を急いでいたのだと、今になると分かるのでしょう。


 例えば、中国が尖閣諸島の周辺に船を送り込んで、領海侵犯させたりしていますが、日本が隙を見せれば占領されてしまうでしょう。そうしたときにアメリカ軍が助けてくれるのか、どうかということなのです。仮にアメリカが動かなければ、日本は個別的自衛権で戦って取り返すことになるのです。


・別の場所で機雷の除去を行う可能性があるのです。その場所とは南シナ海です。・・中国が少なくとも七つの岩礁を埋め立て、人工島の建設を急ピッチで進めています(p104)


 法案の内容説明が主なのか、マスコミ・政治家の駆け引きが主なのかよくわかりませんでした。テレビ番組の内容からもう一歩の深みを期待していました。


 池上さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・憲法審査会で、安保関連法案の審議とは別に・・この日は立憲主義、改正の限界、意見立法審査がテーマ・・憲法学者の意見陳述が終わった後、憲法審査会委員の民主党の議員が、「いま議論されている安保関連法案は、憲法に違反するのですか、しないのですか」と質問したんですね(p67)


・安倍政権は、内閣法制局の長官に外務省の小松一郎さんを据えるに当たって、山本庸幸という長官を追い出しています・・最高裁判所の裁判官が一人、定年で辞めるのに合わせて、その後任に置くという形をとりました・・集団的自衛権を認めるのは憲法違反だと考える人が最高裁判所の裁判官に入ってしまった(p152)


・東京大空襲で一晩に10万人の一般市民を殺害する結果になる計画を立てたアメリカ空軍のカーチス・ルメイは、戦後、航空自衛隊の育成に尽力したという理由で、1964年、やはり旭日大綬章を授与されています(p4)


日本は本当に戦争する国になるのか? (SB新書)
日本は本当に戦争する国になるのか? (SB新書)
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池上 彰
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【私の評価】★★☆☆☆(68点)


目次

はじめに 根拠なく不安がるのではなく、きちんと考える
序章 賛成派と反対派、噛み合わなかった議論
1章「安保法案」は「憲法違反」って、どういうこと?
2章「安保関連法」って、いったいなに?
3章「安保法制」と中国
4章「安保関連法」はアメリカの言いなり?
5章 政治運動の新潮流が起きた
6章 戦後の安全保障政策の大転換って、どういうこと?
7章「安保関連法」と「安保条約」との関係は?



著者経歴

 池上彰(いけがみ あきら)・・・1950年、長野県松本市生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、NHKに記者として入局。さまざまな事件、災害、教育問題、消費者問題などを担当する。1994年4月から11年間にわたり「週刊こどもニュース」のお父さん役として活躍。わかりやすく丁寧な解説に子どもだけでなく大人まで幅広い人気を得る。2005年3月にNHKを退職したのを機に、フリーランスのジャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍など幅広いメディアで活動。2012年2月、東京工業大学リベラルアーツセンター教授に就任。


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