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「上司の哲学―部下に信頼される20の要諦」江口 克彦

2014/11/27公開 更新
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上司の哲学―部下に信頼される20の要諦 (PHP文庫)


【私の評価】★★★☆☆(76点)


要約と感想レビュー

 松下幸之助に直接教えを受けた江口さんが伝える松下幸之助流の経営者を育てる技術です。松下幸之助さんは、直接教えを伝えるのではなく間接的に教えていたようです。


 例えば、ハーマン・カーンという人を調べてほしいと思ったとしましょう。そこで、秘書の江口さんに「君、ハーマン・カーンという人を知っているか?」と聞く。そこで、江口さんは口頭で「ハーマン・カーンとは・・・」と説明しました。


 ところが次の日、幸之助はまた同じ質問をするのです。「君、ハーマン・カーンという人はなにをする人や」そして、次の日も「君、ハーマン・カーンという人は誰や」。つまり、ハーマン・カーンを聞かれたら、徹底的に調べて報告するのが仕事であると松下幸之助は気づかせたかったのです。


・「こいつをなにがなんでも育ててやりたい」という熱意がなければ、部下は育たない。(p58)


 また、「人間を考える」という本を松下幸之助と江口さんが編集しているときのこと。松下幸之助は江口さんに「PHPのことば」の改訂版を出すので、見直し作業を指示しました。ところが、江口さんが徹夜で「PHPのことば」を見直して改訂版を出そうとすると、しばらく置いておいていい、と松下幸之助は止めるのです。実は「人間を考える」の編集のために江口さんに松下の考え方の原点である「PHPのことば」を読ませて勉強させたかったのです。


・松下幸之助という人は、人と話をする時に必ず相手の目を見て話をした。・・・この本心から聞いてくれるという姿には心打たれるものがあった(p152)


 松下幸之助とは、五目ならべで人を育てている人だと思いました。つまり、五目ならべは単純に三を作っていても勝てません。三、三、四三と遠回しに追い詰めていく必要がある。


 人も同じで、単純に「こうしろ」「注意しろ」といっても変わらないのです。そこまで手間暇かけて、やり方も考えて人を育てようとするのか、と感嘆しました。江口さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・「君、人は大切にせな、あかんで」と、これが松下の口癖だった(p57)


・「君、なにか用事はないか」というのが松下の口癖だった。・・・これを聞くために松下は一日に何度も電話をしてくる。・・・「今のところなにもありません」と答えた。そうすると、松下は厳しい口調でこう言った。「君、こんなに世の中が速く動いているというのに、たとえ一時間でもなんの変化もないということはないやろ」と。(p73)


・「君な、これから経営を進めていく時に、まずは冷静に判断せいや」。・・・そして少し間をおいて、こう言ったのである。「それから、その後には、そっと情をつけるんやで」(p87)


・雑談を大事にする・・・今は上司が、ことあることに自分の考えや気持ちを部下に伝えていくべきだ。(p117)


・「なぜ」ということを、よく説明すべきである。"なぜ、この仕事を進めていくのか""なぜ、この仕事を君にやってもらうのか"。それを部下の一人ひとりに伝えていかなければならない。(p163)


・"長"のつく人間の責任は三つある。一つ目は自分のグループの仕事をやり遂げる責任。二つ目は自分の下にいる部下を育てる責任。そして三つ目は新しい仕事を創造していく責任だ(p80)


・私は部下を見ていく時、常に十年スパンでその人を見ている。この人は十年後にはこれくらいまで伸びてくれるだろうとか、十年後にはこういうポジションをやってもらおうというふうに考えている(p95)


▼引用は下記の書籍からです。
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【私の評価】★★★☆☆(76点)



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