「近江商人魂―蒲生氏郷と西野仁右衛門(上・下)」童門 冬二
2013/08/29公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(74点)
要約と感想レビュー
■織田信長~豊臣秀吉の時代における
近江商人仁右衛門の人生を追う
時代小説です。
当時の商人とは、大名とつながりを持つ
御用商人、自分で物を運ぶ行商人がありました。
仁右衛門は行商人として商売をはじめました。
・道を歩くときには、いろいろな料金を取られたり、また品物を取られたものだ。しかし、いまわたしたちが自由に歩けるようになったのは、亡くなった織田信長さまという方のお蔭だよ。考えてみれば、あの人は偉かった(下p128)
■当時は、近江商人としての評判は
確定しておらず、物が売れず
仁右衛門は苦難の連続です。
しかし「信用」を積み重ねる
良心的な商売を続けていきます。
織田信長から始まった楽市楽座という
商売の自由化によって
商人が活躍できる素地が
できつつあったのかもしれません。
・信用などというものは、たった一つの行為や作為や才覚などで生み出せるものではない。それこそ自分の生涯を通じて、自然に、自分の外から造られてくるものなんだ、とね。(上p209)
■会津の鶴ヶ城を作った
蒲生氏郷(うじさと)の
生涯もわかりました。
歴史を見るときに、
武将を見るのもいいのですが、
商人を見るのもよいと思いました。
童門さん、
良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・普通、行商人は、自分が持っていった荷が全部売れれば、帰りは金だけ持って戻ってくる。しかし、近江商人は、そんなことはしない。売った金で、新しい品を買い込む。そして、それを故郷や故郷に近い市場に持っていって売るのである(上p14)
・信長がこういったことをおぼえている。「川に落ちた犬は、石で叩け」・・・「しかし、その石のツブテに屈せずに、岸に這い上がってくるような犬こそ、本当の強者なのだ」(上p135)
・信長にとって、茶会の効用は、その場で密談ができるということであった。つまり大名と町人がいっしょになって同じテーマについて話し合えるということである(下p47)
・山というのは、下から見ると低い。しかし、登りはじめると、次第に高くなる。・・・そして頂に近づくにしたがって、その高さはいよいよ増す。同時に、近くにある山々がよく見えてくる。・・・結局、山の本当の姿は、山に登ってみなければわからないのだ(下p65)
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【私の評価】★★★☆☆(74点)
著者経歴
童門 冬二(どうもん ふゆじ)・・・1927年生まれ。東京都立大学事務長、東京都広報室課長、広報室長、企画調整局長、政策室長を歴任。1979年作家となる。
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