「国家の崩壊」佐藤 優が嵌められた日
2011/12/26公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(89点)
要約と感想レビュー
■ソ連邦の崩壊の過程を、
外務省のソ連担当だった佐藤 優さんから
解説してもらう一冊。
私も2000年頃、2006年頃に
旧ソ連圏で仕事をしていましたので、
プーチンが大統領となる2000年までの
流れがよくわかりました。
佐藤さんの神学や歴史の知識を含めて、
まるで大学の授業を受けているような
感覚なのです。
・当時のマフィアがやっていたことは、官営工場の払い下げを受けて、それを元に儲けていくことですから、創設期の三井と三菱と同じです・・同時に民間暴力装置もセットしている。マフィア系の政党も「ロシアの選択」とかいくつかあるし、院外団もある(p271)
■佐藤さんのすごいことは、
面白い人間としてソ連の要人とサシで
情報交換していたこと。
これは、個人の能力としか
言いようのないものだと思いますが、
佐藤さんの著作を読むと、
その知識量と見識に驚きます。
現場体験と学術的知識が
連動し、融合しているのです。
・ローマ法に基づいて社会が運営されますと、合意が拘束するということが基本になるわけです。いったん合意したら、それは何があっても守らなくてはならない。・・・けれど、止むを得ず合意を破ってしまうことだってあるじゃないか、 とロシア人は考えるわけです(p329)
■腐っても国家は守るべき。
これがソ連崩壊から、
佐藤さんが学んだことです。
そういう意味では、
役人支配の国家だとしても、
国家財政が破綻したとしても、
日本は天皇の下に一つに
まとまっているという点では少し安心かも。
ソ連崩壊の歴史を紐解く
素晴らしい一冊だと思いました。
佐藤さん、
良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・国家の崩壊によって・・ソ連領域に生活している一人ひとりの悲惨な物語を目の当たりにして、私は国家が悪であるが必要だとの確信を抱くようになった・・・私は役人として上司におもねることを止め、国益のために自分が正しいと信じることは、官僚組織から煙たがられても率直に言うことにした(p28)
・彼らは腐っても鯛なのです・・・彼らはみずからの体制がガタガタになってソ連が崩壊する最後の最後まで、世界各国の革命勢力に資金を送り続けていたぐらいですよ・・・ソ連共産党を侮ることはできないと思います(p44)
・ロシアでは手を付けちゃいけないものが四つある・・・『黒パン(白パンはなくても生きていける)』『ジャガイモ』『タバコ』それに『ウォッカ』だよ。この四つのうち二つが同時に欠乏することになったら、ロシアでは暴動が起こる(p64)
・弱った権力というのは、粗暴になりがちだから、何をやるかわからないということもロシア人は知っている・・・「強い軍隊と残虐な軍隊は違う。だいたい弱い軍隊が残虐なんだ」と、こういうことを言うんです(p229)
・ウズベキスタンというのは、もともとウズベキ語を話すトルコ系の部族なんです・・・今のカリモフ大統領はサマルカンド出身で、タジク人でありながらウズベク人の部族と対立するために、大統領に据えられたんですよ(p139)
・チェチェンには、独特の「血の報復の掟」があるんです・・・もし祖先の七代までのうちに殺された人がいたら、誰に 殺されたかも同時に暗記させるんです。それで、殺した奴の七代前まで報復をしなければいけないのです(p150)
【私の評価】★★★★☆(89点)
著者経歴
佐藤 優(さとう まさる)・・・1960年生まれ。日本の作家。学位は神学修士(同志社大学・1985年)。同志社大学神学部客員教授、静岡文化芸術大学招聘客員教授。在ロシア日本国大使館三等書記官、外務省国際情報局分析第一課主任分析官、外務省大臣官房総務課課長補佐を歴任。
2002年に鈴木宗男事件に絡む背任容疑で逮捕される。2005年に執行猶予付き有罪判決(懲役2年6か月、執行猶予4年)を受け東京高等裁判所、最高裁判所は上告を棄却し、判決が確定した。
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