【書評】「尖閣諸島沖海戦―自衛隊は中国軍とこのように戦う」中村 秀樹
2011/11/06公開 更新

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【私の評価】★★★☆☆(72点)
要約と感想レビュー
尖閣諸島は中国の領土
2010年9月尖閣諸島沖で、中国漁船が海上保安庁の巡視船に体当たりしました。日本は当然、船長を逮捕しましたが、中国は、尖閣諸島は自国領であると主張し、強く反発。日本人は、改めて尖閣諸島で領土問題があることを再確認したのです。
中国は台湾の併合を「一つの中国」というスローガンのもと、対日工作を続け、中国が強面で出れば日本は必ず折れてくるという、外交的には有利な立場に立っているのです。
この本では、中国の尖閣諸島侵攻から日本の反撃までを想定しています。
「中華人民解放軍は、長年日本に侵略されてきた尖閣と琉球を解放するために派遣された。本来中国領であり、侵略的な意図はない(p210)
中国の尖閣諸島侵攻の方法
中国侵攻の流れは、
1 尖閣諸島へ漁民に扮した特殊部隊が上陸
2 現場に急行した自衛艦を中国艦が攻撃
3 マスコミを使って自衛隊の武力行使を非難
4 宮古島、石垣島、与那国島を特殊部隊で占領
基本的に日本は専守防衛ですから、侵略の意図を持った軍隊を防ぐのは難しいのでしょう。
例えば、正当防衛に基づく武器使用は刑法の規定であり、軍事部隊行動を想定していないのです。仮に侵略者に正当防衛以外で武器の使用すれば、刑法上個人としての責任が問われるのです。仮に違法となれば指揮官は主犯、部下は共犯従犯となるわけです。
また、領空侵犯に対する処置には、攻撃は含められていません。あくまで武器の使用は緊急避難や正当防衛に限られているので、侵犯機が日本のスクランブル機や日本領土に対する攻撃をしない限り、手が出せないのです。
最も脅威のある中国との国境の島々は無防備、裸で放置されている。最西端の島与那国島には、当然部隊があってしかるべきだろう。遅ればせながら配備計画が持ち上がった途端、民主党政権の防衛大臣が「中国を刺激する」という理由で取りやめた。領海侵犯を日常的にやる国相手に、国境警備をすることが「刺激する」とは恐れ入った・・こういった、無用の遠慮が、侵略を誘発するのである(p346)
日本の尖閣諸島奪回の方法
日本の反撃は次のようになります。
1 潜水艦による補給の切断
2 特殊部隊による人の盾排除
3 潜水艦による飛行場攻撃
4 F35によるレーダー破壊
5 潜水艦による中国艦隊攻撃
6 航空機による中国攻撃機との空中戦
7 航空機による中国艦隊へのミサイル攻撃
8 攻撃ヘリと戦車による周辺諸島奪回
9 宮古島の補給路遮断と特殊部隊攻撃
著者は、奪回作戦において、愚かな指揮官は、相手の国籍確認という現実離れした指示をするだろうと予想しています。ミサイルで数百km離れて攻撃する時代に、相手の国籍を確認するのは、実際には不可能なのです。
日本は、愚かな最高指揮官(首相)から国籍確認という縛りを受けているらしい。ヘリが見に来たら簡単に撃墜できる。見に来なければ、日本から先制攻撃はないないということだ。共産党は嫌いだが、このあたりは党の対日工作活動に脱帽せざるを得ない(p186)
日本くらい国境警備の甘い国はない
中国軍は特殊部隊員や政治工作員を大使館だけでなく、民間企業にも多数潜伏させているという。そして、2010年の国防動員法で、日本にいる中国人も軍事目的に動員できるようになりました。
考えたくはありませんが、福島第一の原子力事故のように中国の侵攻も対策を考えなくてはならないのでしょう。中村さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・敵の電波を妨害する電子戦装備を開発しようとしたら、愚かな防衛官僚がその周波数は海上自衛隊の割り当て電波ではない、と妨害したことがある。当たり前だ、敵の電波が対象なのだ。自衛隊は一時が万事、こんな調子である。(p48)
・2008年の時点で、日本に帰化した中国人は11万、一般永住者は約50万、さらに学生を加えれば200万人の中国人が日本に住んでおり、違法在留者はその何倍もいる・・中国人妻をもった自衛官は千を超えて、自衛官にも帰化中国人がいる(p347)
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【私の評価】★★★☆☆(72点)
目次
序章 兆候
第1章 侵略
第2章 敗戦
第3章 奪還
著者経歴
中村秀樹(なかむら ひでき)・・・昭和25年、福岡県に生まれる。昭和49年、防衛大学校卒業(18期生)、海上自衛隊に入隊。護衛艦隊幕僚、潜水艦艦長、幹部学校教官等を務め、防衛研究所戦史部を最後に平成17年、退職
離島防衛関係書籍
「オペレーション雷撃」山下 裕貴
「自衛隊は尖閣紛争をどう戦うか」
「尖閣諸島沖海戦―自衛隊は中国軍とこのように戦う」中村 秀樹
「尖閣を奪え! 中国の海軍戦略をあばく」福山 隆
「邦人奪還-自衛隊特殊部隊が動くとき」伊藤祐靖
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