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「邦人奪還-自衛隊特殊部隊が動くとき」伊藤祐靖

本のソムリエ 2020/11/12メルマガ登録
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【私の評価】★★★★☆(86点)


要約と感想レビュー

 自衛隊初の特殊部隊である特別警備隊の創設に尽力した著者が描く、尖閣諸島の奪還作戦と北朝鮮拉致被害者奪還作戦です。著者は2012年に実際に尖閣諸島に上陸しており、特殊部隊の経験を含めてあまりにリアル。


 自衛隊は現場において敵国に対して絶対に最初に手を出せませんが、一線を超えたら怖いくらい強いのかもしれません。なぜなら本気になれば技術・装備は一流だし、統率され士気が高い。日本人の歴史がその強さを証明しているのです。


・撃ち返しては来ない。現場が撃とうとしても、日本のトップが絶対に許可しない・・・しかも、あの国は決断を嫌い、どこまでも譲歩してくる・・・ところが、ところがだ。ある一線を超えると大変なことになる・・・(p20)


 面白いのは、軍事素人の政治家と、政治に関係ない自衛官との関係性でしょう。政治判断として死亡者が出るであろう作戦を指示する政治家と、命令により命を失うであろう作戦に出撃する自衛官。やはりそこに国家としての意思、作戦の目的、政治家の覚悟が求められるのでしょう。


 これまではアメリカ軍の傘の下で何もなく過ごしてきましたが、尖閣で何かがあれば決断しなくてはならないときが来るのかもしれません。しかも、相手は核兵器を持つ国なのです。


・救出する人数の5倍から10倍の特殊部隊員が命を落とす覚悟の作戦になります。それでよろしければ、6名無傷で連れ戻してみせます(p134)


 本書では奪還作戦で生き残った隊員が、懲罰人事でへき地に異動を内示され退官しています。著者も42歳のとき特殊部隊の先任小隊長から他部隊への異動を内示され退官しています。


 「命をかけてやってきたが、もうやってらんねえよ!」という著者の声が聞こえてくるような一冊でした。


 伊藤さん、良い本をありがとうございました。



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この本で私が共感した名言

・軍法がないというのは、とんでもない話なんだ。別の視点で見れば、日本は恐ろしい国だよ。当の本人には軍人としての権利を放棄させているが、同時に義務を規定していないんだからな。国家レベルで軍事訓練を受け、国家予算レベルの武器を持った者が、規律なく行動するかもしれないんだからな(p151)


・評価もせずに何となく気が緩んでいるかもしれない、と疑う姿勢は間違いだ。不安があるのなら、深夜に非常呼集をやれ。それで問題があれば、最も連絡が取りづらくなる時間帯を狙って再度呼集をかけろ。必要ならば連日であろうと、一日に何度かけようと構わん(p72)


・エシュロンのサーチングに引っかかってしまうキーワードは、メールで遠回しに日本語を使って説明します・・・普通の日本語のキーワードを送ると、今度はプリズムのサーチングに引っかかってしまいますので、ひらがなを使わずに漢字の音読みで送ります(p74)


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▼引用は、この本からです

伊藤祐靖、新潮社


【私の評価】★★★★☆(86点)



目次

海鳴り
第1章 尖閣占拠
第2章 騒乱
第3章 出撃
第4章 帰還
エピローグ


著者紹介

 伊藤 祐靖(いとう すけやす)・・・1964年、東京都に生まれ、茨城県で育つ。日本体育大学から海上自衛隊入隊。防衛大学校指導教官、護衛艦「たちかぜ」砲術長を経て、「みょうこう」航海長在任中の1999年に能登半島沖不審船事案に遭遇。これをきっかけに全自衛隊初の特殊部隊である海上自衛隊「特別警備隊」の創設に携わり、2007年、2等海佐の42歳のときに退官。後にフィリピンのミンダナオ島で自らの技術を磨き直し、現在は各国の警察、軍隊への指導で世界を巡る。国内では、警備会社等のアドバイザーを務めるかたわら私塾を開き、現役自衛官らに自らの知識、技術、経験を伝えている


離島防衛関係書籍

「オペレーション雷撃」山下 裕貴
「自衛隊は尖閣紛争をどう戦うか」
「尖閣諸島沖海戦―自衛隊は中国軍とこのように戦う」中村 秀樹
「尖閣を奪え! 中国の海軍戦略をあばく」福山 隆
「邦人奪還-自衛隊特殊部隊が動くとき」伊藤祐靖


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