【書評】「人間集団における人望の研究―二人以上の部下を持つ人のために」山本七平
2011/03/18公開 更新

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【私の評価】★★★☆☆(73点)
要約と感想レビュー
バランス感覚が大切
本書のタイトルのとおり、リーダーに求められる資質として古今の書語られていることをまとめた一冊でした。やはり、上に立つ人は過去の人も言っているように、しっかりした軸とバランス感覚が必要なのだと思います。
中庸とかバランスというのは、中間を取るという意味ではなく、全体を見て適切な落としどころを決めるということなのでしょう。ですから、場合によっては中間、場合によっては一方の意見に近いものになってもよいのです。
「中庸を得た・・・」とか「中庸を心得た・・・」といった言葉は、けっして、「足して二で割る」「まんなかを取る」といった無原則な妥協的な意味ではなく、「偏頗(へんぱ)なき動かざる中心を持つ」といった感じである。(p130)
人望は教育で作ることができる
この本では、人を動かす人望というものは、教育、修練で得ることができるものとしています。だれでも喜怒哀楽といった感情はありますが、それをどう処理するのか。だれもが欲を持っていると思いますが、組織の中でそれをどう出すのか。
人望というものは後天的に作ることはできると思いますが、先天的な部分もあるのでしょう。山本さん、よい本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・小学・・・孟子の言葉で「飽食暖衣(ホウショクダンイ)、逸居(イッキョ)して教えなければ則ち禽獣(キンジュウ)に近し・・・「食べたいだけ食べ、着たいだけ着て、ぶらぶら暮らし、ただそれだけで教育がないとなれば、その人間は禽獣に等しいものである」(p173)
・ベン・シラの知恵・・・「高ぶりが来れば恥もまた来る」/高ぶりは滅びに先立ち、誇れる心は倒れに先立つ/高ぶりはただ争いを生ずる/愚かなものは高ぶって用心しない」等々の状態のものは、「神に憎まれ/憂いが来たり/恥が来て」最終的には「神に倒され/亡ぼされる」としている(p151)
・コスモ・エイティ創立の立役者、碓井優社長・・・自分の好きな言葉として「喜怒哀楽の未だ発せざる、之を中と謂う」を引用された(p209)
・軍の指揮権に政治家がタッチできないのは、どこの国でも当たり前のことである・・・では、本当に軍は暴走できるのであろうか。それはできない。議会が予算案の中の戦費を可決しない限り、「予算がないから戦争はできない」という状態になる(p218)
▼引用は下記の書籍からです。
祥伝社
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【私の評価】★★★☆☆(73点)
目次
1章 「人望」こそ、人間評価最大の条件―現代に甦る"人望主義"の精神とは何か
2章 「人望のある人」とは、どんな人か―「不徳の致すところ...」にみる、徳と人望の相関関係
3章 不可欠の条件―「九徳」とは何か―時代を問わず、世界中に通用してきた徳目を学ぶ
4章 人間的魅力と「常識」との関係―「中庸=常識」が示唆するリーダーの現代的人間像とは
5章 儒教の「徳」とキリスト教の「徳」―東洋・西欧に共通する人望の条件を洗い出す
6章 「教なければ禽獣に近し」―子どもを人望ある人に育てるには、どうすればよいか
7章 機能集団における指揮者の能力とは―人徳プラス能力によって部下の「やる気」を鼓舞するために
8章 現代人が学ぶべき「人望」の条件―「コスモ・エイティ」発足事件が示す"人心掌握"の典型例
著者経歴
山本 七平・・・1921年生まれ。青山学院高商学部卒。戦時中は、砲兵少尉としてフィリピン戦線を転戦。戦後、山本書店を設立し、聖書、ユダヤ系の翻訳出版に携わる。著書多数。1991年12月死去。
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