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「野蛮人のテーブルマナー」佐藤 優

2010/11/10公開 更新
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野蛮人のテーブルマナー (講談社+α文庫)


【私の評価】★★★☆☆(77点)


要約と感想レビュー

 佐藤さんが教える野蛮人のテーブルマナーとは、情報機関のテーブルマナーです。情報機関の世界では、諜報のテクニックは公表してはならないということですので、ごく触りのところだけのご紹介なのでしょう。


・スパイ活動に引きずりこむためには、まず新聞報道についての教えを口頭で請い、謝礼を渡し、次に新聞報道をまとめるレポートをつくってもらい、そして情勢分析に関する調査報告書を書かせ、徐々に文書を作るのに慣れさせていくというのがこの業界の定石だ(p27)


 諜報活動では、他国に協力者を作ることが仕事になりますので、人間関係のテクニックが使えそうでした。段階的に関係を深めていく。食事、アルコールをうまく使う。次に会うために、お願いをする。営業と同じですね。


 ただ、ギャンブル・風俗は、諜報ではあまり使わないそうです。中国は使うようですが、国によって違うのでしょうか。


・1回目の食事で、2回目の接触を確保するためにはどうしたらよいか。・・・例えば、食事のとき本の話題になったとき、その本が現在絶版となっている場合、「是非読んでみたいので貸して欲しい」と頼み込む。(p19)


 情報機関に興味があるのであれば、一読しておく価値のある一冊だと思います。佐藤さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言


・情報機関という・・・接点などまったくないと思われていますが、実際には「リエゾン(連絡役)」的な役割を果たす人間がいる。西側の情報機関では、このリエゾンに足払いをかけてはいけない、というルールがある。諜報工作のターゲットにはしない、ということ(p114)


・インテリジェンス業界では、秘密情報の95~98%は公開情報の中にあるという。筆者の経験からも、軍事情報以外は、その通りだと思う。(p6)


・いまでも日本は核武装するうえで法的問題はないんです。逆説的なんですけれど、現状で核拡散を措止するためには、日本が潜在的「核カード」を持っていることが重要です。そうすれば、日本に核を持たせないために他国の核開発を抑制しようとアメリカが本気になって働きかけるからです(p164)



【私の評価】★★★☆☆(77点)


目次

第一章 野蛮人脈を作るテーブルマナー
第二章 騙されずに情報を取る技法
第三章 危機からサバイバルする技法
第四章 仕事の終わらせ方



著者経歴

 佐藤 優(さとう まさる)・・・1960年生まれ。日本の作家。学位は神学修士(同志社大学・1985年)。同志社大学神学部客員教授、静岡文化芸術大学招聘客員教授。在ロシア日本国大使館三等書記官、外務省国際情報局分析第一課主任分析官、外務省大臣官房総務課課長補佐を歴任。2002年に鈴木宗男事件に絡む背任容疑で逮捕される。2005年に執行猶予付き有罪判決(懲役2年6か月、執行猶予4年)を受け東京高等裁判所、最高裁判所は上告を棄却し、判決が確定した。


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