「スリー・カップス・オブ・ティー」グレッグ・モーテンソン
2010/11/09公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(90点)
■世界の二番目の高峰K2登頂に失敗し、
パキスタンの村で助けられたモーテンソンは、
その村に学校を作ることを約束します。
彼には、学校を作ることが、
K2登頂と同じか、それ以上にやりがいの
あるものに見えたのです。
米国で金を稼ぎ、パキスタンに帰ってみると、
学校を作るための資材を搬入するためには、
橋を作らなくてはならないことが判明。
その後も、誘拐されたり、
モスリムの長老から学校を燃やされたりしながらも、
金を集めて、学校を作り続けました。
・何かお手伝いできることはありませんか?」
「教わることは何もありません・・・
私たちの方が幸せそうだと思います。
ただ、学校だけは欲しい。
子どもたちを学校に通わせたいのです」(p48)
■この本を読むと、
パキスタン、アフガニスタンの山岳地帯で暮らす人々の
雰囲気が伝わってきます。
テレビも、電気も、水道もない。
仕事も、食糧も、学校もないのです。
それでも、人々は楽しそうに暮らしている。
物質的には恵まれていないけれども、
精神的な面では、
別の豊かな面を持っているのでしょう。
・アラブの遊牧民族が水路のありかを知っているように、
バルティ族はほらあなのありかを知っている。
そしてそのほらあなにも火を起こすための
乾いた葉や枝が用意してある(p200)
■しかし、アフガニスタンは米国とのテロとの闘いで
さらに荒廃しています。
国家の運命というものは、
住む人の努力もあるのでしょうが、
地政学的な運命もあるように感じました。
モーテンソンさん、良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・このコーランがどんなに美しいかわかるかね?
しかしわしには読めない。文字が読めないのだよ。
人生でこれほど悲しいことはない。
村の子どもたちがこのような思いをせずにすむなら、
どんな犠牲でも払う(p260)
・僕はこの日のスピーチを、大好きなマザー・テレサの
言葉でしめくくった。「私がしていることは、
大海の1滴にすぎないかもしれません」・・・
「けれども私たちがやらなければ、
海の水はそれだけ減ってしまうのです」(p390)
・どうして対立が起きるのか、
その根本的な原因について話そうとした。・・
だが、そんな話が活字になることはほとんどない。
記者たちはタリバンの幹部がしゃべる映像を手に入れ、
戦争をもくろむ悪役に仕立てあげようとするだけだった(p454)
・アフガニスタンは世界一地雷の多い国だ。
何十年にも渡って、いろんな軍勢が小さな爆発物を
何百万個もばらまいた。
その結果、そこに地雷が埋まっているか、
正確なところは誰にもわからない。(p536)
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【私の評価】★★★★★(90点)
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