「人を見る眼 仕事を見る眼 松下幸之助エピソード集」PHP研究所
2007/08/27公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(96点)
要約と感想レビュー
経営のコツ
松下幸之助のエピソードを集めた一冊です。松下幸之助がいかにして人を育てたのか、エピソードを通してよくわかる至宝の一冊になっています。松下幸之助は「経営のコツを悟れば百万両や」と言っています。では、経営のコツとはなんでしょうか。
数多くの松下幸之助の本を読んできましたが、経営のコツはこれや、と明確にされたものはありませんでした。ただ、計画したことに対して、細かいところにも気を使い、執念を持ってそのとおり実行することを松下幸之助が大切にしていたというエピソードが多数ありました。
例えば、ある新設工場の竣工式の前日に、松下幸之助は豪華な神棚を、質素な神棚に変更するよう指示します。工場長は徹夜で質素なものを探し、なんとか間に合わせることができました。式典が終了した後に、工場長は幸之助の部屋に呼ばれて、神棚を手配したときの苦労を工場長に聞きました。そして、松下幸之助は「苦労しました」という工場長に、「授業料をくれ、僕は君に経営のコツを身をもって教えてやったんや」と授業料を請求したのです。
細かいことに注意すること、しっかり計画どおりにやること・・・ここらへんに経営の真髄があるのかもしれません。
「実は、開会式の式次第を若干変更したいと思うんですが・・・」・・・「何やて、そら、君、あかんよ。・・・最初から国旗をあげとくというんでは話にならんがな。仕事も遊びもいっしょや。しっかり計画どおりにやることが大切なんや。・・・もしそんなことならやめてしまったらええ」(p76)
経営のコツ
また、経営幹部には事業部の業績の数字を電話で質問するなどしています。つまり、経営幹部には、自分の事業の細かい点まで把握することを求めていたことがわかります。
例えば、新聞を持ってきてくれと部下に頼んだとき、「新聞を見たとき、これが一部なんぼぐらいにつくものか、なんぼぐらい発行されているのか、そういうことに興味をもたんようではあかんやないか。」と叱っています。ただ持っていけと言われて、ハイと言って持ってくるだけだったら、子どもと同じじゃないかというわけです。
松下幸之助の伝説となったエピソードがこの本には多く書かれています。そこには、人間に対する深い洞察と、経営のヒントが満載されています。もし、この本を読んで、経営のコツがわかったら、この本の価値は百万両(3000億円)となるでしょう。★5つとしました。
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この本で私が共感した名言
・いくら明日の仕事にさしつかえても、もし品質のよくない製品を売るようなことをしたら、お客さんに申し訳ないやないか。それはもう主任に相談するまでもなくすぐに返品しなさい!(p85)
・「石炭に聞いてみることですね・・・政府は石炭が大事だから大いに増産しようと言う一方で、その値段をできるだけ安く抑えようとしています。・・・これでは石炭は出てきたがらないですよ。(p150)
【私の評価】★★★★★(96点)
目次
1 君ならできる!―人を見る眼
2 電池が語りかけてくる―仕事を見る眼
3 企業の発展は社会が決める―経営の姿勢
4 雨が降ったら...―繁栄への発想
5 みんなお得意さん―共存共栄への願い
6 お前はどっちの店員か―人生断章
著者経歴
PHP研究所・・・松下幸之助によって創設された出版社、シンクタンク。松下幸之助の「物心両面の繁栄により、平和と幸福を実現していく」という思想Peace and Happiness through Prosperity(繁栄による平和と幸福)を実現するため、雑誌、本の出版、PHPの理念広報、国家政策提言、「PHPゼミナール」などの啓発セミナーなどを行なっている。
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