「裁判のカラクリ」山口 宏、副島 隆彦
2007/04/16公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(78点)
●平成21年から市民が裁判員として裁判の判決に関係するという
裁判員制度が始まります。
裁判について勉強してみることにしました。
●裁判では起訴された時点で、有罪・無罪を問わず、
被告人はとてつもない被害を受けます。
仮に起訴された場合、
罪を認めなければ数年間拘留されたり、
裁判というムダな時間を使うことになります。
それだけ頑張って無罪を主張しても、
有罪率は99パーセント。
素直に検察の言うことを認めて服役したほうがよいと
考えるのが普通の人でしょう。
・刑事裁判で、裁判所と検察、警察の鉄のトライアングルに逆らって、
彼らに無用な敵愾心を持たれたら、無罪になる事件も有罪にされて
しまう。・・・弁護人にとってそんな実態は先刻承知のことだから、
ひたすらお上の慈悲にすがるがごとく情状を訴える(p158)
●警察もそうした仕組みを熟知していますので、
罪を認めたほうがすぐに外に出られるよということで、
被疑者を誘導して供述調書を作成します。
そして供述調書を作ってサインしてしまえば、
その時点で供述調書は強力な証拠となるのです。
・裁判官は警察の提出した供述調書のほうが
真実であると認定してしまうのである。
ところが、供述調書が、実は警察の作文でしかないことは、
刑事裁判を十件も経験した弁護士ならば
皆知っていることだ。(p84)
●そうした、警察と検察と裁判官の関係の中に、
平成21年からは市民が入ってきます。
検察側としては、無罪判決が続発するのではないかと、
戦々恐々としているのではないでしょうか?
・地裁の裁判官がもっとも恐れるのは、
高裁で逆転判決が出されることだ。
同じく高裁の裁判官にとって最大の失点は、
最高裁から審理を差し戻されることなのである(p88)
●それでも検察側も裁判員制度を推進しているのですから、
最近、世間しらずの裁判官が増え、
不思議な判決が出ることに対する
危機感があるのかもしれません。
・ほとんどの裁判官は、東大法学部を目指して
必死に受験勉強に取り組んだような人が多い・・
最近は、世間知らずの裁判官が増えて、
しばしば「おやっ」と思うような判決に直面する(p82)
●膨大な数の判決を書き続ける裁判官、無罪判決を恐れる検察、
膨大な犯罪を立件する警察も大変な仕事だと思いながら、
自分が無実の罪で起訴されないことを祈って、★3つとしました。
─────────────────
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・検事と裁判官はお友だち・・・
裁判官の新年会や忘年会などには、
かならず手土産を持って出席するのが
ベテラン検事の務めだ。(p191)
・最初に百万円を着手金として持参すれば、ほとんどの弁護士はやる気を
起こす。・・・弁護士に解決を依頼することに慣れている人は、
とくになにもいわなくても五十万~百万円を最初に持ってくる。(p21)
・実は明け渡し紛争や債権回収などの多くが、指定暴力団の構成員や
それに準ずる人たち、またはその配下のチンピラによって処理されて
きた・・・91年の暴力団新法によってこの分野からヤクザを完全に
駆逐してしまった。・・・いまや借金は踏み倒し放題となっている。(p124)
▼引用は、この本からです。
【私の評価】★★★☆☆(78点)
■著者経歴・・・山口 宏
1954年生まれ。早稲田大学法学部卒業。弁護士。
「裁判ゲーム」「裁判の秘密」など著書多数。
■著者経歴・・・副島 隆彦
1953年生まれ。早稲田大学法学部卒業。
代ゼミ英語教師を経て、常葉学園大学助教授・評論家。著書多数。
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