「大仏破壊―ビンラディン、9・11へのプレリュード」高木 徹
2007/04/17公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(74点)
●旧ソ連のアフガニスタン侵攻に対し、
アフガニスタンはアメリカの支援を
受けて戦いました。
旧ソ連撤退後、
無政府状態となったアフガニスタンに
秩序を取り戻したのはタリバンだったのです。
・ならずものに襲われる恐怖なしに、
国内を旅行したり、商売をしたり、
店をかまえたりする。
そんな当たり前のことがタリバンのおかげで
再びできるようになったのです。
(パキスタン内務大臣)(p27)
●しかし、タリバンの支配するアフガニスタンに
ビンラディンがやってきてから
歯車が狂いはじめました。
ビンラディンは客としてアフガニスタンに
やってきましたが、資金にものを言わせて、
アフガニスタンに軍事キャンプなどを作っていきます。
・「ビンラディンがいなかったら、
タリバンは今もつづいていたはずだ」
元タリバン政権の内務次官ハクサルは、
悔しさをこめてそう言っている。(p166)
●さらに悪いことに、タリバン政府から
女性が抑圧されていることが、
CNNなどのメディアで報道されました。
これで、タリバン=悪、というイメージが、
欧米社会で定着してしまったのです。
・ホタクがアメリカで学んできたことの一つは、
海外のメディアの力の大きさと、
それを利用することである。(p182)
●タリバン内では、ビンラディンの思想が
広まるにつれて、権力闘争がおこりますが、
最終的にはビンラディンがタリバン内で影響力を強め、
バーミヤンの大仏破壊につながっていきます。
タリバンが悪者になっていき、
最後にはアメリカに叩き潰されるのを見ていると、
大戦時の日本とイメージが重なってしました。
どこかで歯車が狂ってしうことで、
ひとつの国家が叩き潰されてしまうのです。
・アルカイダの軍事キャンプは、
「クラスター爆弾」はもちろん、
「バンカーバスター」や「気化爆弾」など、
核兵器と通常兵器の中間にあるとまで言われる
ありとあらゆる兵器で、さながらその
実験場のような凄まじい攻撃を受けたのだ(p316)
●国際関係におけるメディア対策の重要性と、
ひとつの国家を簡単に崩壊させる
国際関係というものの重要性を
感じながら、★3つとしました。
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・デュプレは、徹底的に現地での活動を行いながら、
同時に各国の外交官を動かし、
国連や学者やさまざまな他のNGOにも声をかけ、
それぞれ必ずしも仲がよいとは限らない者たちが、
必要とあれば同じ目的のために
協調できる体制をつくりあげていた。(p76)
・民主主義は堕落をもたらします。
西洋の国々で、お金、性、道徳、
あらゆる面でどのような腐敗した状況になっているか・・・
かつて異教徒が押しつけてくる
共産主義と戦い勝利しました。
今、再び異教徒が押しつけてくる
民主主義という悪と戦うのが、
タリバン運動の中核です。(p275)
・ビンラディンは優れたPR戦略家である。
それは、若き日に、対ソ連聖戦時代に
やってきたパキスタンで世界各地から
イスラム聖戦士を呼び集めるときから培われた、
年季のはいったものである。(p327)
・私たちの世界が直面する最も大きな危機は、
彼らの次の巨大な攻撃である。
そこに核をはじめとする大量破壊兵器が
使われることの現実的な危険性を、
国連やアメリカやそのほかさまざまな機関や国は
真剣に心配していることを隠していない。(p337)
▼引用は、この本からです。
文藝春秋 (2007/04)
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【私の評価】★★★☆☆(74点)
■著者経歴・・・高木 徹(たかぎ とおる)
1965年生まれ。大学卒業後、NHKに入局。
福岡放送局を経て、報道局勤務。
NHKスペシャル「民族浄化 ユーゴ・情報戦の内幕」
「バーミアン 大仏はなぜ破壊されたのか」などを担当。
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