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「そう考えると楽ですね-松下幸之助との日々」岩井 虔

2007/03/15公開 更新
本のソムリエ
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そう考えると楽ですね―松下幸之助との日々


【私の評価】★★★★☆(89点)


要約と感想レビュー

●松下幸之助はどのような人であったかというと、
 本当は気が弱く、神経質で
 繊細な人間であったと思います。


 しかし、そのような人間がどうして
 経営の神さまと呼ばれ、
 松下電器という巨大国際企業を
 作り上げることができたのか。


 それは松下電器という企業の使命に対する
 「思い」であり、そして、社主である自分の
 「信念」であったのではないでしょうか。


●従業員と話をするときも、
 従業員を知ろうとする、
 従業員から何かを得ようとする。


 細やかで神経質である性格を、
 うまく転換していたように感じます。


・「君、家族は何人や?ご両親は顕在か」・・・「そうか、そうか。君はなんでこの松下に入ってくれたんや?」「君、松下で何をやりたいと思ってるんや?今の仕事楽しいか。これからの夢あるんか・・・(p16)


●ときおり部下が失神するほど
 叱責することがあります。


 しかし、気が弱い松下を
 そのようにさせていたのは、
 社主としての自分の立場、
 その人を育てたいという
 激烈な思いだったようです。


 これは社員を思う気持ちというよりも、
 自分の子どもを思う気持ちに
 近いものでしょう。


・部下指導は真心をもって行うべきものにして、単なる御機嫌とり政策の如き浅薄あるべからず、宜しく言うべきは言い、糾すべきは糾し、真の向上のために鞭打つの誠意をもって行うべし「社員指導及び各自の心得」(p61)


●そして、松下自身、「経営」つまり
 組織をあるべき方向に導いていくことに
 面白みを感じており、
 常に経営のあり方というものを
 考えていたようです。


・「じゃあ君は、一家の主人やな」「はい、そうです」「主人といえば、家庭の経営者やな。経営者なら、夢を語り、方針を示さないかんと思うんやが、君は奥さんやお子さんに、"五年後の岩井家、十年後の岩井家をこうしよう"ということをちゃんと言うて、協力を求めているんやろうな」(p70)


●松下幸之助関係の本を読んでいると
 いつも姿勢が良くなります。
 腰が立ち、胸を張っている自分がいます。


 自分の姿勢を正してくれる良書として
 ★4つとしました。


この本で私が共感した名言

・塾生の一人が質問をしました「なんでリーダーと掃除が関係あるんですか」その質問に対し、松下は、「自分の身をきれいにできない者が、なぜ社会をきれいにできるのか」と答えたそうです。(p21)


・松下幸之助自身、晩年の幹部研修会などで、「部下の良さ、偉さがわかるか」「出ばなをくじくな」「拝む心を持て」などと、繰り返し指導していました。(p48)


・できるだけ質問を受けることにしていたんや・・・「そんな時、パッと手を挙げる従業員の名前を覚えておく」「覚えてどうなさるんですか」「昇格や」「えっ・・・(p85)


・「君、100のうち三つできたらどう思う?」・・・私は、「・・・100のうち三つしか成功しないのであれば、やめたほうがいいと思います。」・・・「わしは、違うなあ。100のうち三つできたら、勇気がでてくるんや」(p157)


▼引用は、この本からです。
そう考えると楽ですね―松下幸之助との日々
岩井 虔
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【私の評価】★★★★☆(89点)



著者経歴

 岩井 虔(いわい けん)・・・1936年生まれ。1958年松下電器入社。1961年PHP研究所へ出向し、研究、編集、国際、研修部門を担当。1992年専務取締役・研修局長を経て、1997年顧問、現在、参与。


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