【書評】「国家の品格」藤原 正彦
2006/04/28公開 更新

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【私の評価】★★★★☆(88点)
要約と感想レビュー
民主主義よりも武士道精神
アメリカのコロラド大学で3年間教え、イギリスのケンブリッジ大学で一年暮らした著者が気付いたのは、日本の世界に誇るべき「情緒と形」を重要視する文化です。
日本人は欧米に学ぼうとしていますが、実は日本に必要なのは、論理よりも情緒、英語よりも国語、民主主義よりも武士道精神ではないか、というのが著者の主張なのです。
お茶を考えても、イギリスではみんなマグカップにどぼどぼ注いでガブ飲みする。しかし日本では、茶道というものにしてしまう。(p98)
食料自給率の向上
グローバルスタンダードという名の下に、経済のアメリカ化が進みましたが、著者は懐疑的です。アメリカの真似をすれば、アメリカのように貧富の差が激しく格差がある社会になってしまう可能性があるのです。
実際、市場経済が進んだ日本では 貧富の差が大きくなりました。著者の提言は、金銭主義アメリカの植民地状態からの独立と、田園の保持と食料自給率の向上です。
講演をベースに作られているので非常に楽しく日本の誇りを鼓舞してくれる内容となっています。ただ、提言において不明確なところがあると感じましたので、少し減点して★4つとしました。
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この本で私が共感した名言
・満州事変から大東亜戦争にかけて、国民はもちろん、朝日新聞をはじめとする新聞も、ほとんどが軍国主義を支持しました(p79)
・「平等」の旗手アメリカこそは、起業経営者の平均年収が約13億円で、一般労働者のそれが約300万円(2004年)の国なのです。3500万人もの人々が貧困のため医療さえ受けられない国なのです(p91)
・国際社会というのはオーケストラみたいなものです・・・日本人は日本人のように思い、考え、行動して初めて国際社会の場で価値を持つ。(p147)
【私の評価】★★★★☆(88点)
目次
第1章 近代的合理精神の限界
第2章 「論理」だけでは世界が破綻する
第3章 自由、平等、民主主義を疑う
第4章 「情緒」と「形」の国、日本
第5章 「武士道精神」の復活を
第6章 なぜ「情緒と形」が大事なのか
第7章 国家の品格
著者紹介
藤原 雅彦・・・1943年生まれ。東京大学理学部数学科、同大学院修士課程修了。コロラド大学助教授を経て、お茶の水女子大学理学部教授。
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やや極論に走っているきらいもあるものの、
日本人の根源、根幹を見直すべし、
自信を持つべしというメッセージは
大いに共感できました。
また、細かな気付きも
たくさん得ることができました。