「父の威厳 数学者の意地」藤原 正彦
2008/06/26公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(86点)
要約と感想レビュー
数学者 藤原 正彦さんのエッセー集です。膨大なエッセーで読むのが大変でした。やはり面白いのは、父親の新田次郎と母親の藤原ていのエピソードでしょう。
父親の新田次郎は、気象庁に入庁するのですが、神田電機学校(現在の東京電機大学)卒業なのでいつまでたっても課長補佐で、新しい課長はいつも東大卒だったという。その頃、息子が東大に合格したので、。新田次郎は「お前みたいなバカでも東大に入れるんだ」と大喜びだったという。
また、アメリカやイギリス生活が長いので、国際関係の主張に鋭いものがあります。「国際化とは、自国の文化を学ぶことにある」と主張していますが、海外生活が長い著者の実感なのでしょう。幕末の下級武士が、現地の人々から賞賛されたのは、流暢な英語や、洗練されたマナーや世界史や世界地理の知識ではなく古典や漢籍の教養そして武士道精神だったのです。
いつもどおり少し毒を持ったジョークもたくさんあり、長く楽しめる一冊です。出張や旅のお供によろしいのではないでしょうか。本の評価としては、★4つとしました。
この本で私が共感した名言
・イギリスでは、古いものほど貴いのである。・・・レストランなどの店が、看板やドアにSINCE 1830などと書くのは、古いことを威張っているのである。これを真似て我が国でも最近、SINCE 1990 などというのを見かけるが、こっけいである。(p163)
・「本を読まないと偉くなれない」、と子供の頃から親や先生に叩き込まれた・・・父から「本代だけはケチるな」とも言われていた(p190)
▼引用は、この本からです。
【私の評価】★★★★☆(86点)
目次
父親としての威厳
数学の試験
酒の模範生
第一感
一昔前の歌謡曲
居眠り
年寄りの情緒力
テニス
ふるさとのお盆
訴訟を恐れる社会
自由の憂鬱
理科ぎらい
家族で見送った父の海外旅行
父の負けず嫌い
著者経歴
藤原正彦(ふじわら まさひこ)・・・1943(昭和18)年、旧満州新京生れ。東京大学理学部数学科大学院修士課程修了。お茶の水女子大学名誉教授。1978年、数学者の視点から眺めた清新な留学記『若き数学者のアメリカ』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞、ユーモアと知性に根ざした独自の随筆スタイルを確立する。
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